〈失言が失言更迭するつらさ〉――一川防衛相と更迭された田中前沖縄防衛局長のこと。このところ連日、時事川柳のタネになっている◆発端となった田中氏の発言は、コメントするだけでも、仲井真沖縄県知事が「口が汚れる」と強い不快感を表明したほどひどい比喩だったが、更迭した防衛相の方も批判の多い言動の主◆ということで冒頭の句のように皮肉られる。大臣就任早々「私は安全保障の素人」発言で物議をかもした。続いてブータン国王夫妻歓迎の宮中晩餐 会を欠席、閣僚の資質を問われていた◆そこへ今度の問題だ。田中発言に加え、防衛相自身も国会で1995年の沖縄女児暴行事件を「詳細は知らない」と答弁、沖縄の怒りを増幅させた◆防衛次官、防衛相の 順に沖縄へ謝罪に出かけたが、知事との面談はごく短時間、ほとんど相手にされなかった。それでも野田首相は防衛相を「適材適所」と言う◆野党は厳しく問責の構えだ。〈更迭は出来ても移転出来ぬ変〉〈失言と無礼の度に遠い基地〉の句もある。
(2011年12月5日13時39分 読売新聞)
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