Wednesday, December 14, 2011

14/12 京都議定書延長 自主削減はやむを得ない道だ(12月14日付・読売社説)


中国や米国も加わる新たな国際ルールを作ることになったのは一定の前進だ。だが、具体的な中身は不透明である。
南アフリカで開かれた国連の気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)は、かろうじて決裂を回避し、「ダーバン合意」を採択した。
温室効果ガスの排出量を削減するための京都議定書を当面、延長し、新ルールを2020年に発効させるという内容だ。

排出削減の具体的議論になると、各国の利害が激しくぶつかり合った。欧州金融危機の中で開かれたCOP17は、来年末に期限切れとなる京都議定書に代わる枠組み作りの難しさを改めて浮き彫りにしたと言えよう。
日本政府は、先進国のみに排出削減を義務付けた京都議定書の単純延長に一貫して反対した。
世界最大排出国の中国、3位のインドは削減義務を負っていない。2位の米国も議定書を離脱し、削減の対象外になった。その延長は公平性、実効性を欠く。日本の主張は理にかなっている。
だが、これまで通り削減義務を負いたくない新興国や途上国が延長を強く支持し、それに押し切られる結果となった。延長幅は、13年から17年までの5年間、あるいは20年までの8年間となる。
日本とともに京都議定書の延長に反対したカナダは12日、議定書からの脱退を表明した。
日本は議定書の枠内にとどまるが、延長期間中の削減義務を受け入れず、自主的な排出削減に取り組む。欠陥の多いルールにはもはやくみしない意思表示と言える。国益上、やむを得ない選択だ。
ただし、引き続き、官民連携による省エネルギーの推進などに努める必要がある。
日本は、鳩山元首相が掲げた「20年までに1990年比25%削減」という削減目標も撤回すべきだ。現実的な数値を速やかに再検討しなければならない。
一方、今回、新ルールがまとまらなかったことで、米中印の3大排出国が何ら削減義務を負わない異常な状況が20年まで続くのは問題だ。世界全体の排出量の半分を占める3か国には、積極的な削減努力が求められよう。
COPは今後、新たな枠組みの内容について議論を進め、15年までの採択を目指す。
京都議定書の教訓を生かし、米中印、日本、欧州連合(EU)など、すべての主要排出国が応分の責任を負う公平なルールにすることが極めて重要だ。
(2011年12月14日01時46分  読売新聞)

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