Friday, April 22, 2011

22/04 「精神的な苦痛」も賠償の対象 原発事故で1次指針案

2011年4月22日21時43分

 東京電力の原発事故に伴う損害賠償を早く進めるため、国の原子力損害賠償紛争審査会は22日、損害判定の目安となる1次指針案を作成し、大筋合意した。当面の被害の補償をめざし、住民の避難費用だけでなく、産業への賠償の目安も提示。農漁業の風評被害についても、1次指針で賠償を検討することになった。28日に正式決定する予定。

 審査会は今回が2回目。賠償は兆円単位になるともみられるが、審査会は1次指針を示し、金額がすぐに確定する被害を先に救済する。

 対象区域は、避難・屋内退避を指示された30キロ圏内と、原子力災害対策特別措置法に基づいて指定した計画的避難区域と緊急時避難準備区域。

 商工業や農林業で営業が困難になったことによる損失には、売れなくなった商品の廃棄費用なども含める。近隣県で政府の出荷制限の対象となった農産物や魚も賠償の対象。生産者団体が出荷を自粛した場合の扱いは今後、検討する。

 放射能汚染がほとんどないのに商品が売れない「風評被害」は明記されなかったが、議論の中で対象に含まれる可能性が出てきた。ただ、風評被害は広範に及ぶ。巨額の賠償が見込まれるため、どこで線引きするかは結論が出なかった。

 避難住民への賠償は、生活費を安定して得られるように、月単位など期間を区切って払うようにする。宿泊費などは実費以外にも「標準的な費用」を定めて支払うことも想定している。政府が指示する前や、区域外の住民の自主避難を対象に含めるかは、結論が出なかった。

 一方、避難による「精神的な苦痛」も賠償の対象にすることで、委員の意見はおおむね一致。1999年のジェー・シー・オー(JCO)臨界事故の際には基本的に認められなかった。ただ、具体的な範囲や金額を決めにくく、引き続き議論する。

 東電が28日以降に始める賠償金の仮払いは、避難住民に1世帯100万円、単身者には75万円。審査会の能見善久会長(学習院大教授)は「とりあえず1次指針を示し、今後、修正、追加する」と説明した。(竹中和正)

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