Friday, April 22, 2011

20/04 枝野官房長官の会見全文〈20日午前11時〉

2011年4月20日13時45分

 枝野幸男官房長官の20日午前11時の記者会見の内容は次の通り。

 【魚介類の摂取制限、出荷停止】

 私から1点報告する。本日、原子力災害対策特別措置法第20条3項の規定に基づき、福島県において水揚げされたイカナゴの稚魚コウナゴについて摂取制限、および出荷制限を福島県知事に指示をした。詳細は厚生労働省および農林水産省におたずね頂きたい。

 【警戒区域の設定】

 ――福島第一原発の半径20キロ圏内を「警戒区域」に設定する方針を固め、関係自治体に連絡を始めたとの報道がある。政府の検討状況は。

 福島第一原発については、まだまだ必ずしも十分に安定してない状況なので、引き続き避難指示が出ている20キロ圏内には健康と安全確保のため、国や自治体などの特段の指示などがない限りは立ち入らないで頂きたいという状況だ。なお、残念ながらそうした状況にもかかわらず一部立ち入りをされている方もいる状況のなかで、実効ある立ち入り制限を行うひとつの手法として警戒区域の設定についても、地元自治体などと検討を進めている。

 ――設定時期の見通しは。

 現時点で地元の自治体のみなさんと検討を進めている状況だ。

 ――では、警戒地域にしないこともありうるのか。

 とにかく入る方の健康そして安全の確保が、警戒区域設定の主たる目的だ。設定するとすれば。今、避難指示を出して安全のために入らないで頂きたいということで申し上げている状況なので、ぜひこの避難指示の趣旨を踏まえて対応して頂きたい、というのが原則的な立場だ。そうした中で残念ながら、もちろんお気持ちはよく分かる。着の身着のままで避難をされたみなさんなどの気持ちは大変よく分かるが、そのために一時立ち入りなどの検討もかなり詰めの段階まで来ている状況だ。

 従って、安全をしっかりと確保した形での一時立ち入りなども、いましばらくお待ち頂ければ実現できる方向にあるので、できるならば今の避難指示の中でご理解頂いた対応をしてもらうのが望ましいと考えているが、一方で現に入られている方が少なからずいるということのなかで、警戒区域の設定を検討せざるを得ない状況にあるというのが、今の状況だ。

 ――住民の健康もさることながら、20キロ以内の治安の観点からも警戒区域設定を検討しているのか。

 二次的効果として防犯対策にもなる側面があることは否定しないが、現に警察のみなさんを中心にして、防犯対策ということについては安全配慮したうえで警察のみなさんにも20キロ圏内に入って頂いているなどの手段をとって一定の効果は上げている。従って、もし設定するとしたら、主たる目的はやはり健康と安全確保のためということだ。

 ――「一時立ち入り」の時期的メドは。

 できるだけ早く、少なくとも例えば役場などで必要な書類などが持ち出せていないということで、避難をされている役場の機能などの一定の機能を働かせる上でも大変不便をかけていたりするということがある。そうしたところからはできるだけ早く順次進めたい。最終段階に近い詰めをしている状況だ。

 ――20キロ圏内にどれくらいの人が残っていて、なぜ残っているのか。

 警察のみなさん、自衛隊のみなさん、安全確保の措置をとった上で防犯のためのパトロールと捜索、そして残っている方がいないかという三つの観点で対応を頂いている。それについて詳細、何人の方を説得して出て頂いたかなどについては経済産業省原子力安全・保安院におたずねを頂きたい。その上で、把握が必ずしも完全に細かくはし切れていないが、実際に中に入られたというような方についての報告が少なからず若干あるということは聞いている。

 ――「警戒区域」と「一時立ち入り」は、基本としてセットなのか。

 論理的に必ずセットにならなければならない問題ではない。ただ、実態としてのオペレーション、実際に警戒区域を設定すれば、そこについての立ち入り規制などについてはしっかりと実効性を持ってやらないとならない。一方で、一時立ち入りについては安全をしっかりと確保した上で進めるためのオペレーションは十分に必要になると。そのオペレーションには裏表みたいなところもあるので、そうした観点から論理的にパッケージではないが、隣接して、あるいは同時に、ということはありうると思う。

 【原発事故賠償】

 ――政府と東京電力が原発賠償機構を検討し、政府が数兆円規模の公的資金注入を検討との一部報道について。

 東電において、しっかりと被害を受けられているみなさんに対する補償を行って頂く。そのために必要な支援は行うという大きな方向性ははっきりしている。ただ、いま、急がなければならないのは、1世帯あたり100万円を基準とする避難をされているみなさんへの仮払い、次の段階として事業を営んでいらっしゃったみなさんに対する、その事業の補償の仮払いというか一時払いが急がれる状況にある。

 まずはそこについて急いで検討し、急いで実施してほしいというのが最優先課題だ。東電がしっかりと補償を行うための政府としての支援の方法については、報道されているような具体的な段階まで進んでいるものではない。

 【閣内からの首相批判】

 ――財務省の桜井副大臣が菅首相を批判するようなメールマガジンを出したことについて。

 報道は拝見しているが、メルマガは拝見していない。直接の上司である財務大臣において、しっかり調査し、しかるべき対応をして頂けると思う。

 【北朝鮮での日本人拘束】

 ――北朝鮮で日本人2人が拘束されたとの報道について。

 報道は承知しているが、事案の性質上、コメントすることは差し控えたい。

 【首相の福島訪問】

 ――総理の福島県視察の狙いと、なぜこんなに頻繁に行くのか。

 具体的な次回の現地調査、現地においての関係者との会談についての、具体的なことが確定したとは認識していない。いくつかの選択肢で調整、検討している状況だ。

 その上で、東京でしっかりと様々な対応の指揮をとることも大変重要だが、現に被災している、あるいは原発事故で被害を受けているみなさん、そういうみなさんの声を代弁している関係自治体の関係者のみなさんたちの声を直接うかがう。あるいは実際に避難されている状況を直接拝見することの意味は、特にいま復旧、復興、原発については避難しているみなさん、残念ながら半年から9カ月は少なくとも避難を頂くということの中で、最大限の対応をしていく上では、状況をしっかりと把握する、直接把握することの意味は大変大きくなっている。

 【一時立ち入り】

 ――一時立ち入りの具体的な内容だが、1回の立ち入り時間がどれぐらいで、20キロ圏内から避難している人全員が対象になるのか。

 まさにそういったことを、どれぐらいの安全確保の措置がとれるのかということとの見合いの中で検討している。

 【復興構想会議】

 ――復興構想会議検討部会と復興構想会議との関係性は。

 最終的な構想そのもののとりまとめは復興構想会議でしてもらうが、多岐にわたる論点について専門的な検討が必要であるというのが今回の震災の事態だと思っているので、すべての専門的な事項を親会議で横並びで議論するのは現実的に難しいだろうということの中で、それぞれ気鋭の専門家に検討してもらい、それを親会議で議論し、整合性がとれる形で、まとめて頂くと。

 全体の大きな理念とか方向性は親会議で作って頂き、それをもとに専門家がそれを実現する詳細の方向性を作って頂く、こんな感じで親会議と専門部会との間のそれぞれの力と役割が十分に発揮されることを期待している。

 ――親会議が6月にまとめる前に、検討部会から何か上げることになるのか。

 諮問をし、専門家のみなさん含めて有識者に、諮問に基づく答申をお願いしているので、具体的な手順については復興構想会議のみなさま方に委ねたいが、まとまった形で報告があがるのか、それともその都度ある分野についてこういう方向でとなるのか、それはいま申し上げたような形で構想会議において主体的に判断頂ければと思う。

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