Wednesday, April 13, 2011

13/04 枝野官房長官の会見全文〈13日午後4時過ぎ〉

2011年4月13日20時59分

 枝野幸男官房長官の13日午後4時過ぎの記者会見の内容は次の通り。

 【松本健一内閣官房参与の発言】

 ――菅首相が松本参与に対し、福島原発地域に10~20年住めなくなるとの認識示したそうだが、政府としてそう考えているのか。

 総理と松本参与の話の内容は伺っていないし、皆さんにどう話したか直接聞いていないが、原発周辺地域については、20キロ以内については、それより遠い所よりも高い放射線量であろうと一般的には言えるが、まさに今避難地域なので、詳細な放射線量をその地域でとっているわけでもないし、長期にわたっての影響についての冷静な土壌というか、地面における放射線物質の量などについてもまだモニタリングも詳細にできていない。

 一刻も早く原発の事態を収束させたうえで、20キロ圏内に限らず、できるだけ詳細なモニタリングを行ったうえで、できるだけ早く従来の生活に戻れるよう、政府として努力をしていきたいと思っているし、今の段階でそうしたモニタリングできてないので、政府としての見通しをもっているものではない。逆に住民からはいつごろ戻れるんだ、という見通しを早くという要望が強いということは認識しているが、原発の事態が収束しないとそうしたことについての十分な調査ができないので、まずは収束させることに全力を挙げたい。

 ――首相がそういった発言をするのは、住民感情から問題ではないか。

 正確にどういう松本参与とのやりとりがあったのか、松本参与がどう記者に報告したのか、把握してないのでなんとも申し上げようがないが、いま申し上げたような認識は総理も共有している。

 【出荷自粛のサンチュが市場に流通】

 ――千葉県で出荷自粛のサンチュが都内で販売されていたが、事実関係は。

 出荷規制とは関係なく出荷の自粛をされていた時点における千葉県旭市産のサンチュの話と承知している。3月20日以降、出荷自粛をしていたが、3月28日に市が独自に調査、検査を行ったところ、暫定基準値を下回った結果が得られたことから、業者の判断として出荷を行ったものと聞いている。自主的に出荷を自粛しているとの情報との間に齟齬(そご)が生じていることについては、しっかりとした管理を行っていただかないといけないと思っており、県に対して適切な管理をするよう要請をしたが、出回っていたものついては出荷規制の対象のものでもないし、独自の検査で規制値を下回っているということで出荷されていたということだ。

 【東電「天下り」問題】

 ――資源エネルギー庁と東電の関係で、石田元長官が東電顧問に就任しているが、こうした天下りと思われるあり方が今回の事故でもチェック体制が機能しなかったとの疑義が持たれていることについてどう考えるか。

 チェック体制に影響を及ぼしていたのかどうかについては軽々に申し上げることはできないが、チェック体制が甘くなった原因になっているのではないかという疑義を持たれているというのは、疑義を持たれる方が当然だと思っている。従って、こうしたことが今後ないようにしていかなければならない。

 ただし、法律的にはなかなかそれを規定するのは難しいということは承知しているが、しかしながら、これだけ大きな事故を起こしているので、こうした点については実態に影響を及ぼしているかどうか以前に疑義を持たれること自体、許されないことと私は思っている。

 ――石田さんが顧問になっている件は、天下りと考えるか。

 今の法律、これが我々が政権交代前からできあがっている法律に基づけば、規制の対象になる天下りではないということになる。そのことについては申し上げてきている通りだが、まさにこうしたことでチェック体制が甘くなっていたのではないかと疑義を持たれる方が多数いることは私は当然だと思うし、結果的にそのことで多くの国民に迷惑をかけていることを踏まえれば、法律上天下りに該当するのかどうかにかかわらず、社会的に許されるべきではない。

 従って、法的にできるかどうかは別として、今少なくとも行政権を担わせている立場として、行政権の行使の範囲内でこうしたことを今後させないことについてできる最大限のことはしてまいりたい。

 ――「指定ポスト」だと考えるか。

 従来、国会などで我々野党時代含めて問題にしてきたのは、同じポストに連続的に特定の役所のOBが就くということで、こうしたことも4代、5代続いているケースが少なからずあって、問題だということでこうしたことは許さないということで、これは大幅に政権交代以降減らしている。今回のように副社長という特定ポストだけを見れば、連続しているわけではないが、結局、いろんなポストをめぐって最終的にはOBが副社長についているというケースも、社会的にみれば連続的に同じポストに就いている場合と同様に問題視されて当然だ。

 ――石田さんが東電に入ったのは、民主党政権下だ。対応に問題はなかったのか。

 現在の制度では、事前届け出とかの制度になっていなくて、事前規制ではない。従って、再就職を認めたとか認めないということではなく、再就職しました、と報告が事後になされたものだ。法律上は問題がないということなので、この国は法治国家なので、行政機関の立場としてそう申し上げてきた。しかし、まさにこうした重大な事故を東電が発生させ、なおかつそのことについての社会的な受け止めを考えるならば、こうしたことは許されるものではないと私は思っている。

 ただ繰り返すが、法律上これをどうやって規制するのかはなかなか簡単ではない。それから行政権の行使としてどこまで規制できるのか、私は最大限、行政権の行使として許される範囲内でこうしたことは他の電力会社も含めて許さないという姿勢で対応してまいりたい。

 【レベル7】

 ――モニタリング結果などを受けて、レベル7だと最終的に判断する主体は日本政府のどこにあるのか。誰になるのか。

 これは原子力安全・保安院というべきなのか、もちろん政府は内閣一体の原則なので、行政権の行使は内閣だから内閣と言うべきかもしれないが、当局がどこかといえば原子力安全・保安院というのが制度的には正しい。ただ当然のことながら重大事故が発生している状況下であるので、第三者的機関である原子力安全委員会の意見も踏まえて、保安院として判断をする。これは政治的に裁量を加えるような性格のものではないので、原子力安全・保安院の判断を公表しているということだ。

 ――先月末までの段階で「レベル7に相当する可能性がある」という報告を受けていたということだが、暫定値であるから報告する必要はないと判断した主体も原子力安全・保安院か。

 暫定値でもない。ある試算によればこういうことで可能性もあるけれども、しかしこれは全くの漠とした推測、推定値なのでそれが正しいのかどうなのかについては、しっかりとしたデータに基づかないと説明できないという報告があったので、できるだけ早くしっかりした説明ができるだけの推定ができるように資料を集めるようにと指示した。

 【復興の青写真】

 ――菅首相は会見で「復興の青写真を描く段階から野党に協力してほしい」と。これは、具体的にシステムに組み込まれて意見を反映するようにするのか。それとも、今やっている与野党合同委員会のようなところで意見を述べてほしいという程度のものなのか。どう考えているのか。

 総理自身も昨日質問に答えていたと思うが、まさに相手のあることなので、私たちがどういうやり方でということ以前に、どういうやり方で協力頂けるのかという協力を頂く相手方の意向が重要だ。政府の立場としては、できるだけ幅広く民間も含めてだが、野党の意見というのも十分生かさせていただきたいと思っているという姿勢を示した。

 ――政府として聞きたい、という手法はどのようなことか。

 手法については、相手方の意向もあるので、その相手方の意向を踏まえた上で申し上げないといけない。

 【仮設住宅入居】

 ――衆院内閣委員会で自民党の長島議員の質問で「仮設住宅にいつまでに入るか目標を示して欲しい」との質問に、「1週間ぐらいの間に目標を出すよう指示する」と答弁したが、具体的にどういう形で出すのか。

 そのこと自体は実務的にできるだけ早く詰めてもらわないといけないと思っている。長島議員からの質問のなかでも、「一番遅くなるならかなり遅いよということであったとしても、とにかく見通しを出すことが重要だ」という指摘を頂いた。おそらく一定の幅のあるものにならざるを得ないと思うが、しかしながら長島議員も山古志村での被災・避難の経験をしている。経験に基づいて、やはり一定の見通しはしっかり出すべきだというのは大変重いと思ったので、私の判断でそうした答えをした。そして生活支援、あるいは国交省などで速やかに見通しを表に出せるような形で整理するようにということをこれから指示しようと思っている。

 【長官就任3カ月】

 ――長官に就任して3カ月だ。当初はゴールキーパーになぞらえて守護神を名乗っていたが、その後地震が起きてかなり状況が変わった。当初の仕事からこの1カ月でどのように想定が変わったか。震災対応によって、従来の官房長官としての役目で果たし切れていない部分があるならどこか。

 私の思う官房長官像ということからすれば、震災前と変わってはいない。政府においては、各大臣そして各省の事務方含め、それぞれの司司において与えられている役割をしっかり果たしてもらうことが、政府として最も効果的に仕事をしていくということになるのが基本だ。官房長官の役割というのは各省ごとの、あるいは各部局ごとの最善の努力を尽くしても、どうしても間にボールが落ちると俗に称されるような事態が生じたりとか、各省間の調整がうまくいかないなどがありえるので、そうしたことについてまさにバックアップ的にきちっとそうしたことが生じないようにするのが一番中心の役割であり、それを比喩的にいえばゴールキーパーのような役割だと言ってきた。

 それは震災前後において変わりないと思っている。ただ、これは今朝の午前中の会見でも行ったが、やはり行政が担うべき役割が、震災の後に急激にしかも桁違いに大きくなっている状況なので、本来の状況における官房長官の役割としては与党との関係、あるいは国会との関係ということについても、先ほど言ったような役割をある部分担わなければならないものだという風には十分承知しているが、ここについては与党、あるいは広い意味で国会の皆さんにも理解をこの間も頂いているが、理解を頂いてむしろ行政の全体の調整ということに徹しさせて頂いているという風に思う。

 ――インターネットや海外メディアで、今の政府の顔は枝野さんだとか紹介している。震災以後、長官が注目を浴びている件についてどう認識しているか。

 とにかく今は私だけでなく、あえていえば記者とかメディアを通じて国民には見えにくい仕事かもしれないが、例えば海江田経済産業大臣は原子力発電所を所管する大臣として最初の1週間ほどは私以上に睡眠時間をとれないなかで対応をしてきた。松本防災担当大臣は、地下の危機管理センターにまさに文字通りもぐった形のなかで危機管理対応をしてきた。各省の事務方もそれぞれ相当ないろいろ仕事に頑張ってきてもらっている。

 たまたま私はその仕事の役目上、国民に向けていろいろなことを発信するというのが所掌の一つであるので、そうしたことからある意味で注目されていることについてはまさに役割分担であると思っている。まさに逆にいえば、多くの閣僚はもとよりだが事務方含め、もちろん現地に入っている自衛隊・消防・警察・海上保安庁などについてはもちろん多くのみなさんも理解頂いていると思うが、今全力をあげてやっているということは理解頂ければと思う。

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