Sunday, July 10, 2011

10/07 編集手帳

7月10日付 

 <遂に爆発・角界革新の叫び/協会大狼狽>の見出しが1932年(昭和7年)1月の本紙に見える。待遇改善や当時の相撲協会の改革を求めた力士が、集団で協会を脱退した春秋園事件。その後相撲人気は長く低迷する◆八百長問題で今年4月、一斉処分が出たことを受けて開かれた緊急力士会は、約80年前のこの事件同様、角界分裂の危機すらはらんでいた。「場所をボイコットすべきだ」の過激意見が飛び出す。制したのは魁皇関である◆「俺たち力士が相撲を取らないでどうする」。場の雰囲気は一変、全員が納得するしかなかった。38歳、最年長関取のひと言が、大相撲の信頼回復へ、力士の気持ちを一つに束ねたと言える◆中学時代、相撲に興味はなかった。入門半年で逃げ出す。反省し、「始めたからには絶対に強くなろう」と稽古に励んだ――『かがやく先輩からのメッセージ』(国立青少年教育振興機構編)で魁皇関が語っている◆「万年大関」「引退か」と言われながら、客席からの歓声は今も角界一である。通算最多の1045勝まであと1勝。大記録へ、きょう名古屋場所初日の土俵に上がる。
(2011年7月10日01時26分  読売新聞)

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