Sunday, July 10, 2011

10/07 広工大13回 無念の棄権

ナインに次々異変

没収試合での敗退が決まり、ベンチで涙をぬぐう広工大の選手たち(広島市南区のマツダスタジアムで)
 夏の全国高校野球広島大会は9日、広島市南区のマツダスタジアムで開幕し、昨年より1校少ない95校が甲子園への切符をかけて激突する。開幕戦の広―賀茂は終盤に1点を奪った賀茂が、息詰まる投手戦を制した。第2試合の井口―広工大は延長13回にもつれ込んだが、熱中症とみられる症状で広工大の選手が相次いで退場。選手が規定数に足りなくなったため、没収試合で井口の勝利となった。10日は6会場で1回戦16試合、11日も同13試合が行われる。
 第2試合が始まったのは午後2時46分。広島市の最高気温は同1時46分で32・3度に達し、平年を2・5度上回っていた。
 広工大の石田克之監督(40)が選手の異変に気づいたのは、三回に入った頃。走塁や打球を追いかけている時、足がつったようなそぶりが目立った。
 「けいれんする」「吐き気がする」――。熱中症かもしれないと判断し、「水を飲んでおけよ」「少し体を休めろ」と指示。それでも、グラウンドで立っていられなくなり、仲間に抱えられて引き上げる選手も出始めた。
 先発後、六回から右翼で活躍していた孫博投手も十一回の打席を三振で終えると、肩を抱えられてベンチへ。次の回に守備につこうとしても体がふらつき、一人で歩けなくなっていた。孫投手は「みんなよく守ってくれていたのに……。最後まで戦わずに負けるのが悔しい」と唇をかんだ。
 十三回表で出場可能な選手は9人。途中出場で二塁を守っていた山内巧選手が、吐き気をもよおした。その裏の攻撃を終え、石田監督は県高野連に「棄権」を申し出た。
 「1、2年生が多く、前半は選手交代でしのぎ、後半は3年生中心で戦う」という戦略は、思いがけない事態で崩れた。選手たちはベンチで涙をぬぐい、スタンドで健闘をたたえてくれる応援団に静かに頭を下げた。(有賀かほり)
井 口7―7広工大
 井口は二回に青木の大会第一号弾で先制すると、六回まで着実に加点。八回に逆転を許したが、追い付いて延長戦に持ち込んだ。広工大は中盤から勢いに乗りながら、熱中症で選手が相次いで倒れたため、没収試合で涙をのんだ。
賀茂1―0広
 試合が動いたのは八回。賀茂の先頭・藤岡が右前二塁打で突破口を開き、犠打で三塁に進むと、暴投で本塁を突いた。これが決勝点となり開幕戦を制した。河崎は被安打6、11奪三振で完封。広は横井が散発4安打と好投したが、打線が好機を生かせなかった。
(2011年7月10日  読売新聞)

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