【香港=槙野健、シンガポール=岡崎哲】福島第一原発事故で日本在住外国人の国外退避が相次ぐ中、香港が「有能な人材を呼び込もう」とビザ審査手続きを大幅緩和した。
これに対し、シンガポールなど周辺国は「流出は一時的現象」と冷静。香港は国際金融センターを支える人材の流出に悩んでおり、震災がその危機感をあぶり出した形だ。
香港政府による特別措置は3月17日から開始。通常4~6週間かかるビザ審査期間を2日間に短縮し、3月末までに日本滞在者270人にビザを発給した。うち158人が就労ビザで、その約8割が月収10万香港ドル(約110万円)以上の投資会社幹部や証券アナリストなどの専門職という。
入管当局幹部は2日の記者会見で「ビザ発給を迅速に行わなければ、他国に人材が流出する」と発言。国際金融センターとして競合関係にあるシンガポールへのライバル意識をむき出しにした。
一方、シンガポール政府は、東京からの人材流出は一時的なものとみており、香港の対応は「過剰」と映っている。
(2011年4月11日 読売新聞)
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