Monday, July 9, 2012

原子力規制委の人選、どうすべきですか クイックVote第91回


 日本経済新聞社は「電子版(Web刊)」の有料・無料読者の皆さんを対象とした週1回の意識調査を実施しています。第91回は原子力の安全確保のため、9月に発足予定の原子力規制委員会の人選基準についてうかがいます。
 与野党のメンツ争いも絡み、国会審議が滞っていた原子力規制委員会の設置法が6月下旬にようやく成立しました。昨年3月の東日本大震災で信頼を失った原子力安全・保安院を廃止し、新たな規制組織を今年4月をメドに設立するとの当初目標よりも半年遅れになりました。
 早く5人の委員を選任し、新機関発足と同時に新たな安全対策の立案などに着手してもらう必要があります。冬の電力不足が懸念される北海道電力の泊原発の再稼働の是非も大きな課題です。
 では、どんな人が委員になるのが好ましいでしょうか。原発を推進してきたいわゆる「原子力ムラ」の人々が規制機関である保安院を仕切ってきたことが安全軽視につながったとの見方は与野党とも大きな異論はありません。ですから今度は電力会社などの影響下にない人に任せたい。ここもほとんどの人が賛同します。
 しかし、具体的な人選となると難題です。原発の仕組みに明るい専門家はそう多いわけではありません。原子力工学を教える大学教授は「個別原発の詳しい状況までは我々には分からない。最も熟知しているのは原子炉メーカーの担当者だ」と打ち明けます。原発の推進派、廃止派との色分けにかかわらず、専門家になればなるほど電力会社などと何らかの接点があるものです。
 設置法は原発関連企業に属する人は委員になれないと定めています。7月3日に細野豪志・原発事故担当相がさらに詳しく除外ルールを発表しました。
○直近3年に原発関連企業に属していた人
○直近3年に原発関連企業から年50万円以上の報酬・謝礼などを得ていた人
は対象から外すというものです。
 同時に大学などの研究者の多くが原発関連企業と密接な関係を持ってきたことを踏まえ、委員になる際には(1)研究室が原発関連企業から得た寄付金額(2)研究室から原発関連企業に就職した人数――などの公開も義務付けました。
 厳しい基準にしないと原発関連企業の「回し者」を排除できない。それは正論です。ただ、ここまで厳しいと設置法が定める「原子力利用の安全の確保に関して専門的知識、経験、高い識見を有する」との基準が満たせるかどうかを懸念する声もあります。
 委員長・委員の任命が国会の承認を必要とする国会同意人事になっていることを心配する向きもあります。立法府が行政府を監視するのは三権分立の観点から好ましいことではあります。
 ただ、衆参両院で多数派が異なる「ねじれ国会」になってからは国会同意人事がしばしば与野党の政争の具にされ、人選が滞ってきたのも事実です。2008年に日銀総裁が一時不在になったのをご記憶の読者もおられるでしょう。
 今回は7月7日(土)から7月10日(火)の4日間を調査期間とし、11日(水)に結果と解説を掲載いたします。アンケートへのご回答は、日経電子版のパソコン画面からログインしてご回答ください。ログインすると回答画面があらわれます。電子版の携帯向けサービスからはご回答いただけません。
2012/7/7 6:00

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