Monday, July 9, 2012

大飯再稼働、賛成が過半数 クイックVote第89回解説 編集委員 大石格


 原子力発電の安全確保と関西の夏場の電力供給。どちらも大事な問題です。野田佳彦首相が6月8日に表明した関西電力の大飯原子力発電所の再稼働の方針について電子版読者は「賛成」が過半数を占めました。
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 原発の近くに住んでいるかどうか。停電が起きると生命にかかわる病人を抱えているかどうか。事情により判断は大きく分かれることでしょう。
 賛成派の意見は電力不足は困るという点に集約されます。
・日本経済の衰退を助長することは許されない(20歳代の男性)
・計画停電や節電は企業に深刻な打撃を与える(20歳代の女性)
・中小企業には死活問題(50歳代の男性)
などが代表的なものです。
 電力供給のほぼ半分を原発に依存していた関西の「危機」は昨年から指摘されていました。にもかかわらず大飯原発を再稼働させるかどうかで民主党政権は迷い続けました。
 これを「決まらない政治」の一例とみたのでしょう。「最近の首相としては志がある」(40歳代の男性)など記者会見で決断を明らかにしたことへの評価を書き込んだ方がかなりいました。
 他方、再稼働方針に反対と答えた方のコメントをみると「絶対安全なんてない。福島をみれば明らか」(60歳代の男性)、「地震国日本において原発の安全はあり得ない」(50歳代の女性)など原子力への不信感を訴える意見が多数でした。
 再稼働は時期尚早との見方もありました。「免震棟もない状態で、運転を認めるべきではない」(40歳代の男性)などです。20歳代の女性からは「民意を問うべきだ」との提言をいただきました。
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 日本の将来の電力供給をどうするかとの問いでは、直ちに原発をすべてやめるという意見は少数でした。にもかかわらず再稼働賛成という意見が原発継続と原発漸減の合計よりも少なかったのは、原子力規制の新機関がまだ発足していないなど政府の取り組みのまずさも要因になっているようです。
 原子力を使い続けるが約3割、徐々に減らすが約4割。7割超の読者が原発を否定しなかったと読むことも、原発継続は約3分の1にも満たなかったと読むこともできるでしょう。
 大飯原発が動いても関西の夏場のピーク時の電力を賄うにはまだ不足です。再稼働でほっとして自主節電が緩むようでは、原発周辺住民の理解は得られないでしょう。この先には北海道電力の泊原発、四国電力の伊方原発などの再稼働問題が控えています。
 野田内閣の支持率は34.9%でした。政権発足後の最低だった前週(29.8%)を上回りました。

2012/6/13 6:00

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