有権者の政治不信はいよいよ深いな~、と思わせる結果でした。昨年の東京電力・福島第1原子力発電所の事故を踏まえて新設する原子力規制の新機関は「政治主導」がよいのか、「専門家主導」がよいのか。電子版読者は「専門家主導」を支持するご回答が約7割を占めました。
設問では分かりやすさを優先して「政治主導」と表現しました。厳密には原発事故など緊急事態の際の指揮権を誰に付与するのか、という問題です。
新組織は経産省の影響下から切り離す――。この基本原則には与野党とも異論は出ていません。ただ、原子力の専門家はそう多くないので、保安院時代の顔ぶれをいっぺんに全取っ換えするわけにはいきません。民主党政権は緊急時指揮権は首相が担うと法案に明記し、専門家を法的に抑え込める体制にこだわりました。
野党の自民党と公明党は専門知識のない政治家は余計な口を挟まない方がよい、との立場。昨年の事故時に菅直人首相がヒステリックに周囲を怒鳴りまくったことが事態を悪化させたとみています。
どちらの考えも一長一短があります。読者は軍配を「専門家」にあげました。「政治家は国の将来ではなく、次の選挙を重視する」(30歳代の男性)、「政治家は数年たつと交代し、将来を見据えた判断はできない」(40歳代の女性)、「政治家は勉強していない」(70歳代の男性)などが多数意見でした。
民主党政権への不信感も上乗せされています。「菅元首相のようなスタンドプレーを二度と許してはならない」(70歳代の男性)とのコメントをいただきました。
ただ、「専門家主導」を支持する読者も手放しの賛成ではありません。「米ロ仏などの専門家も起用すべきだ」「米国からヤツコ氏(米原子力規制委員会の前委員長)を招へいしたらよいのではないか」などのご提案もありました。ちなみにヤツコ氏は組織内で能力不足批判が続出し、5月に辞意表明しました。誰をも納得させる手腕の持ち主はどの国にもなかなかいません。
「政治主導」を推す読者は「原子力村」再現は許さないというご意見がほとんどでした。「専門家は原発推進しか頭にない」(30歳代の男性)、「今回の事故で専門家も当てにならないことが分かった」(60歳代の男性)などです。
新組織をどこに置くかでは公正取引委員会のような独立機関(三条委員会)にすべきだというご意見が9割を超え、圧倒的な支持を集めました。
独立機関支持派からは「環境省のミッションとは根本的に異なるのではないか」(50歳代の男性)というご回答をもらいました。汚染源が化学物質だろうが、放射性物質だろうが、環境保全という観点では同じ作業なのですが、環境省は川のヘドロをしゅんせつする役所というイメージなのかもしれません。
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野田内閣の支持率は29.8%でした。政権発足後の最低だった5月下旬の前回調査(32.0%)から続落しました。
2012/6/6 6:00
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