大型連休中に関越自動車道で起きた高速ツアーバスの事故では7人が亡くなりました。前田武志国土交通相は8日の記者会見で「しっかりとした安全のネットワークを張ることができなかったという反省がある」と行政の不備を認めました。読者の反応も「規制を強化すべきだ」とのご意見が8割を占めました。
今回の事故は国土交通省が現在の規制を2013年度中に見直す方向で検討をしていた矢先のできごとでした。前田国交相は人命重視の世論を踏まえ、見直しの前倒しを指示しました。(1)1人の運転手が一度に走る距離を短くし、長距離の場合は交代運転手の同乗を義務付ける(2)事故時にはバス会社だけでなく、ツアーを企画・運営した旅行会社にも責任を負わせる――などの措置が実施される見通しです。
業界団体やバス会社の自主的な努力に委ねる、とのご意見は2割にとどまりました。40歳代の男性からは「法令順守などできて当たり前のことができていなかった日本企業・社会である。自主的な取り組みなど何の意味もなさないのは明白だ」と辛辣なご回答をいただきました。
ただ、アンケートの出だしでは10%台後半だった「自主規制に委ねる」は日ごとに少しずつ増えました。事故直後は人命第一でも、だんだんとバス料金への影響など他の要素も気になり始めたのでしょう。バス利用者の自己責任の観点も重要になるとのご意見もありました。
そもそも高速ツアーバスは競合する飛行機や鉄道よりも料金が安いことで伸びた業界です。値段が上がれば競争力は低下します。
人命第一の読者でも何を基準にバスツアーを選ぶかとなると「運賃の安さ」と答える人が最多でした。ツアーバスの募集パンフレットをみると「交代運転手が同乗」と明記し、安心を売り物にしているものもあります。だが、それを最重視している読者は9人に1人。危ないのは困るが、安さもほしい。矛盾するご回答は悩める消費者の正直な気持ちの表れともいえます。
今回のアンケートは高速バスツアーが対象でしたが、このところ増え始めている格安航空は大丈夫か、と心配するご回答もありました。確かに飛行機で事故があれば、バス以上の被害を生むでしょう。サービスは切り下げるが、安心は切り下げない。これが「格安」のルールです。
読者のご回答には「バスの運転手がおかしいのに気が付いたら乗客は通報なり何なりすべきだ」という自主防衛的なご意見もありました。国交省任せではなく、危うい業者を淘汰するため、利用者はどう振る舞えばよいかも問われています。
2012/5/9 6:00
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