2009年度に「生活保護の不正受給」と認定された件数は、全国で1万9700件にのぼる。なかでもトップは大阪市で2012件。実に全国の1割以上を占めているが、そこには驚くべき不正受給の実態があった。
大阪市では現在、18人に1人が生活保護を受けている計算で、生活保護費は市の予算の約17%を占めている。生活保護費の4分の3は国庫負担だが、それでいてこの額なのだ。
そのひとつが、昨年11月に詐欺罪で有罪となった女性占い師のケース。「住む家も資産もない」として生活保護を受給していたが、実は神戸市内に豪邸を構え、数千万円もの預金を持っていたという。
「この占い師がたまたまテレビ出演したのを市の担当者が見て、おかしいと気づきました。他には受給者の住宅扶助(最高で4万2000円の家賃補助)をピンハネしていたNPOや、医療扶助でタダで処方された向精神薬を売りさばいていた受給者の存在をつかんで、警察に情報を提供したケースもあります。しかし、逮捕者は“氷山の一角”でしかないといわれれば、否定はできません」(同前)
悪質な受給者は少なくない。大阪市のホームレス支援団体職員がため息まじりにこう話す。
「生活保護費をもらってパチンコに直行なんて、西成区界隈では当たり前すぎて、語るほどのことでもない。支給日直後の居酒屋やパチンコ店はどこも繁盛していますよ。若い世代では、生活保護を受けるために形式上の離婚をして、実際には同居していながら受給するパターンが多い」
※週刊ポスト2011年3月11日号
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