Sunday, August 7, 2011

28/07 編集手帳


7月28日付 

 級友にさよならを言う寂しさは想像に難くない。まして放射線という目に見えぬ怪物に追われての転校は、幼心にどんな傷痕を残すのだろう。精神面のケアを十分にと祈るばかりである◆福島市の小中学生300人以上が、健康への影響を心配して、市外に転校したという。山形県に越した小3女児は七夕飾りに「ふく島にもどれますように」と書いた。その日が一日も早く訪れるように、急いで放射線の「除染」作業を進めるべきである◆福島市は、学校の建物除染と校庭の表土除去にとりかかっている。しかし、通学路や自宅、遊び場などにはなかなか手が回らない。田畑の土壌や森林の樹木・表土まできれいにするとなると相当の人手と費用が要る。政府の支援がぜひともほしい◆汚染がなくても福島県内の観光地は閑古鳥が鳴く。同僚が、同窓会旅行を今年は会津若松で、と誘っても、難色を示す仲間が多かったという。目当ての温泉宿には100人以上の避難者がいる◆「でも宴会やカラオケは遠慮せずどうぞ。避難されている方々がそう望んでいます」。女将おかみ台詞せりふに全員が感激、決行と相成ったそうだ。
(2011年7月28日01時14分  読売新聞)

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