7月25日付
〈全勝優勝〉を逸した大関日馬富士は実に残念そうだった。土俵下でしばしぼう然と立ちつくしていた◆前日、横綱白鵬の8連覇を阻み、自身2年ぶり2度目の優勝を決めていたのだが、〈全勝〉が欲しかった気持ちがよくわかる。きのうの千秋楽、関脇稀勢の里を土俵際あと一歩まで攻めながら、突き落とされて敗れた◆が、大関の表情は悔しさの苦笑から、やがて微笑に変わった。この日の勝負が全力を尽くした攻防だったことと、今場所は連日、持ち前のスピードで自分の相撲を取り切れたという悔いない微笑だ◆2009年夏場所の初優勝後は前場所まで、けがなどもあって最高10勝しかあげられなかった。復活の勢いを来場所以降につなぐべし◆V8を逸した白鵬は野球賭博、八百長など大相撲の嵐の時代を一人横綱で支えた功労をたたえたい。その疲れが出たのかも知れない。連勝、連覇記録の再スタートを期待する◆今場所は〈満員御礼〉が千秋楽で初めて出た。これも来場所は連日の復活を力相撲に期待しよう。
(2011年7月25日13時41分 読売新聞)
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