Sunday, August 7, 2011

27/07 編集手帳


7月27日付 

岐阜県庁では、この夏の節電対策の一環として、午後1時から3時までの間、職員に時間休(シエスタ休暇)を取るよう推奨している。シエスタはスペイン語で、昼寝、あるいは昼寝が出来る長い昼休みを意味する◆最近は東京のオフィス街でも、個室のベッドで仮眠できる施設がにぎわっている。企業の“サマータイム”導入による早朝出勤、冷房の利かないオフィス…。とりわけこの夏は、疲れがたまりやすい。昼休み、短い時間でも睡眠をとって、仕事の効率を上げようということなのだろう◆〈機織の機にもたれて昼寝かな 子規〉。かつて日本では、夏の昼下がり、仕事場や縁側、木陰などで仮眠をとる習慣があった。昼寝は、俳句では夏の季語でもある◆米国の文化人類学者、ルース・ベネディクトは著書「菊と刀」の中で、日本人はどんな姿勢でも、どんな環境においても楽々とよく眠ると驚嘆している。睡眠は「日本人の最も完成された技能の一つ」とまで持ち上げている◆扇子で涼をとりながら、椅子の背にもたれ、うつらうつらする。それも蒸し暑い日本の夏を乗り切るための知恵なのだろう。
(2011年7月27日01時18分  読売新聞)

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