大津波を引き起こした東日本大震災の本震で、宮城県沖の海底が最大で約55メートル動いたと見られることが、東京大地震研究所の解析で分かった。海底の地盤が大きく動いた領域は、津波被害が集中した地域の延長線上にあたり、津波を増幅させる原因になったと考えられるという。
岩手県釜石市沖約50キロと約90キロの海底に設置した観測機器のデータを用いて、古村孝志教授と前田拓人東大特任助教らが解析した。
解析によると、最も大きな地殻変動があったのは、宮城県牡鹿半島の200キロほど沖の海底で、陸側のプレート(岩板)の先端部分にあたる。幅約55キロ、長さ約160キロにわたり、南東方向に約55メートルもずれていた。地震波による解析でも、同様の結果が得られたという。
この一帯は、別の研究グループの観測で、地震時に海底が約5メートル隆起したことが分かっている。陸のプレートの先端が、跳ね上がりながら激しく動いたことが裏付けられ、古村教授は「海底の地下の浅い場所で大きな地殻変動があったことが、大津波につながった」と分析する。
1896年の明治三陸地震でも、今回と同じように、陸のプレートの先端の海底が激しく動いたとみられ、大津波で2万人以上が犠牲となった。
古村教授は「今回は、明治三陸地震で動いた場所の南の領域が動いた。今後、さらに南の福島沖や北側の部分で同様の地震が起きる可能性があるのか注視していきたい」と話している。(鈴木彩子)
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