Tuesday, March 29, 2011

29/03 「もう限界」「一時帰宅を」原発避難の首長らが窮状訴え

2011年3月29日21時55分

 もう限界だ――。福島第一原発の周辺にあり、放射線被害から逃れるため避難や屋内退避の指示でちりぢりになっている福島県内8町村の首長や議長が29日、震災後初めて、同県郡山市に集まった。佐藤雄平・県知事も同席。原発への憂慮や避難所生活の窮状を訴える声が相次いだ。

 県内の会津美里町に集団移転する楢葉町の草野孝町長は、長期化する避難生活で具合が悪くなったり、医者にかかったりする町民が何十人も出ていると説明。「職員も限界にきている」と訴えた。

 会津若松市への集団移転を進めている大熊町の渡辺利綱町長は、避難指示圏への住民の一時帰宅について言及。「避難している人は着の身着のまま、カギもかけてこないで出てきた人もいる。無理は承知だが1時間でもいい。住民を一度帰してもらいたい。それが住民からの一番強い要望だ」と報告した。

 さいたま市に集団移転している双葉町の井戸川克隆町長は車で駆けつけた。町民の所在確認について「行政でやるのは、もう限界」と説明。「民間のリサーチ会社に委託するなど、外の力を借りた方が効率的にできるのではないか」と提案した。

 馬場有・浪江町長は「大津波で相当な人が行方不明になり、遺体がまだ、そのあたりにあると聞いている。県は、遺体の収集と行方不明者の捜索をぜひ、県警、自衛隊に要請して頂きたい」と、津波被害を受けた町の写真を佐藤知事に見せた。

 首長らは、原子力災害の収束を国や東京電力に求めることや住宅、雇用、就学先の確保などを佐藤知事に要望した。佐藤知事は、一時帰宅について「命の問題だから、ここは辛抱してもらわなきゃいけない。ただ、住民の気持ちはわかっているのか、と官邸には再三言っている」と答えた。

(斎藤健一郎)

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