自宅を貸して生活資金を得る以外に、住み替えせずにマイホームを担保にしてお金を借りる方法もある。リバースモーゲージと呼ばれる手法で、本人の死後、自宅を売却するなどして一括返済する(=イラスト)。
例えば、中央三井信託銀行では、60歳から83歳までの人が申し込める。東京や大阪、愛知などの都市部の戸建て住宅が対象で、土地評価額が4000万円以上などが条件。評価額の50%まで借りることができる。お金は生涯にわたって定期的に、または必要に応じて受けとれる。
東京スター銀行では、55歳から80歳までが申し込みの対象。戸建てのほか、東京など一部地域のマンションでもお金が借りられる。借入枠は、戸建ては同行が査定した担保価値の80%、マンションは50%が目安となっている(上限額あり)。
また民間とは別に、全国の社会福祉協議会でも、低所得者向けに「不動産担保型生活資金」を実施している。65歳以上で、区市町村民税が非課税の世帯などが対象。戸建てのみ、土地の評価額が1500万円以上が原則で、借入枠は評価額の70%まで。
いずれのリバースモーゲージでも、相続を巡るトラブルを避けたり、売却をスムーズに進めたりするために、一人暮らしか夫婦のみが対象で、それ以外の同居人を原則、認めていない。また、事前に配偶者や子どもの同意を得ることや、そのうちの1人に連帯保証人になってもらうことを課しているところもあり、利用上のハードルは高い。
リバースモーゲージに詳しい法政大講師の倉田剛さんは「本人が長生きした場合や、不動産の価値が大幅に下落してしまったり、金利が上昇したりすると、予定より早く借入枠いっぱいになってしまう」と話す。直ちに返済を迫られることはないが、それ以上のお金が借りられなくなってしまう恐れがある。あくまで余裕を持って利用したい。
(2011年3月29日 読売新聞)
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