Wednesday, December 7, 2011

いよいよ始まる消費増税議論(その1) 国民と市場で理解の仕方に大きな違い 社会保障・税一体改革議論をどう進めるべきか

【第16回】 2011年12月7日   森信茂樹 [中央大学法科大学院教授]

来年3月中の法案成立めざし
本格的な議論が始まる

いよいよ社会保障・税一体改革と消費税の議論が始まる。
野田総理は、12月中に社会保障・税一体改革の素案を決定し、自民党公明党との協議を経て、来年早々にも大綱を策定し法案化、3月中に法案成立という段取りを公表している。
法案の中身がどのようなものになるのか、現段階では不明だが、消費税率を段階的に引き上げる「時期」と「税率」の明記、さらには、逆進性対策として「軽減税率を導入しないこと」などが明記されるのではないか。

そこで、社会保障・税一体改革の論点は何か、さらには、消費税にまつわるさまざまな疑問、たとえば益税は兆円単位で存在しているのか、輸出企業は、輸出に際して消費税の還付を受けるが、それは企業優遇なのか、と言った点について、私なりの見解を3回に分けて披露したい。
第1回目は、「総論」ということで、消費税率引き上げの論理、議論の仕方について述べてみたい。

同床異夢の消費税の
引き上げ理由

国民にとって最も重要なことは、なぜ消費税率を5%まで引き上げる必要があるか、引き上げた場合どのような効果があるのか、などについてきちんとした説得的な説明を受けることである。
多くの国民は、消費税率の引き上げは、社会保障の「充実」のためだと思っている。負担が増えても、自らの社会保障給付としていずれ返ってくるのであれば、それはやむを得ない、と思っている。

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