「福島県の子供が原発事故による放射能汚染の不安におびえる様子を見てられない。カネ(予算)は幾らでも付けるから、学校や通学路の放射線量低減策を一日でも早く打ち出してほしいと、文部科学省の担当者にお願いしている。新聞も『菅(直人)政権は子供対策を急げ』と書いてください」
5月中旬、夕食をともにした財務省の中堅幹部は熱っぽく訴えた。「同じ子供を持つ親として、対策の遅れは許し難い」とも。
それから約1カ月半。菅政権はようやく福島県の学校や妊婦の放射能汚染対策を盛り込んだ11年度第2次補正予算案を閣議決定、国会に提出した。
先の財務省幹部は、学校で削り取られた放射性物質を含んだ土が校庭に置かれたままな点も心配し、「福島第1原発敷地内に密閉施設を造って、削った土を集約すべきだ」とも指摘したが、菅政権はそこまで対策を徹底する方針は示していない。天下り問題など何かと批判される霞が関だが、政治混迷で遅れる東日本大震災対応に心を痛める官僚も少なくない。【竹川正記】
毎日新聞 2011年7月7日 東京夕刊
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