東日本大震災で被災した宮城県立気仙沼高校の野球部が1日、東京都八王子市の早稲田実業学校王貞治記念グラウンドで練習試合に参加した。気仙沼高校は避難所でもあり、練習環境は限られているが、この日は早実と静岡県富士市立高校を相手に思い切りのいいプレーを披露。試合は2試合とも負けたが、選手たちは「野球をやれるありがたさを感じた」と口をそろえた。
早実戦で先発した同校3年、小野寺修平さん(17)は自宅1階が津波で浸水。被害を免れた2階で生活を始めるまで、震災後約2週間は避難所を転々とした。地震当日は野球部の練習中で、学校で一夜を明かした。自宅や家族を失った人を目の当たりにする中で、「地域の力になりたい」と思い、市のボランティアに登録、物資の仕分けなどを手伝った。
家族を亡くした部員もおり、練習を再開したのは1カ月後。校庭は自衛隊車両が駐車しているため内野部分しか使えない。練習中に被災者から「頑張って」と声を掛けられ、「地域の思いも背負っている」と励まされた。
この日、小野寺さんは卒業生が提供してくれたアンダーシャツを着て登板。「広い環境で強豪校と対戦できてありがたい。少しでも良いプレーをして復興の力になりたい」と喜びをかみしめた。
対戦した早実3年の安田権守主将(18)は「試合をできる喜びが伝わってきて、学ぶことがたくさんあった」と語り、部員全員で応援歌を歌いながら気仙沼高校のバスを見送った。【長野宏美】
毎日新聞 2011年5月1日 20時32分(最終更新 5月1日 20時52分)
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