Monday, May 2, 2011

02/05 墜落・爆発・銃撃戦…ビンラディン容疑者の極秘殺害作戦


2011年5月2日20時46分

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写真:FBIサイトに掲載されたビンラディン容疑者=ロイター拡大FBIサイトに掲載されたビンラディン容疑者=ロイター

 国際テロ組織アルカイダ指導者オサマ・ビンラディン容疑者の殺害作戦は、どう進行したのか。米政府高官やパキスタンの地元住民の証言から再構成した。

 現場のパキスタン北部アボタバードで電話取材に応じた住民によると、作戦は、現地時間の2日午前1時(日本時間同日午前5時)ごろに始まった。

 同容疑者が潜伏していた邸宅は3階建てで、有刺鉄線のついた高さ3~5メートルの塀に囲まれていた。闇をついてヘリコプターが低空で2機飛来し、その後、さらに大きな1機が加わった。うち1機はその後、邸宅付近に墜落、炎上した。

 パキスタンの地元テレビ「ジオ」が報じた目撃談では、ヘリからの爆撃か地上からのロケット砲の発射とみられる爆発音が、3度聞こえ、その後に大きな爆発もあった。最後の爆発がヘリの墜落だったという。

 邸宅からわずか約700メートル離れたところには、パキスタン軍の士官学校がある。周囲は1万軒ほどの民家がある住宅地区だが、作戦後からパキスタン治安当局が約2キロ四方を封鎖、出入りを禁じている。

 米政府高官によると、作戦は一般住民の巻き添えを防ぐため、小規模の部隊が実行した。抵抗を受けたため銃撃戦となり、ビンラディン容疑者と息子、側近ら計5人が現場で死亡した。作戦は40分以内で終了。現場では地元の当局者に出くわすこともなかった。ヘリの墜落は、機器の不具合が原因だったとしている。

 米メディアによると、実動部隊は海軍特殊部隊(SEALS)と米中央情報局(CIA)の軍事部門だった。ビンラディン容疑者は頭に銃弾を受けたという。

 米政府高官によると、最初の手がかりは約4年前にもたらされた。米情報機関が、ビンラディン容疑者の信頼が厚いという側近の身元や本名を確認。約2年前にこの人物の活動地域を突き止め、昨年8月、アボタバードの邸宅を特定した。

 邸宅は2005年ごろに約100万ドル(約8200万円)で建てられ、周囲の家に比べて約8倍の規模があった。2カ所の出入り口の管理が厳重で、インターネットや電話回線を引いておらず、ゴミをすべて敷地内で燃やすなど、不審な点が浮かび上がったという。

 住民の証言では、邸宅を建てたのはパキスタン北西部のスワート地区から来た人々だった。スワート地区はアルカイダと連携を強める反政府武装勢力パキスタン・タリバーン運動(TTP)の活動拠点だった。

 米情報機関は、この邸宅には複数の人物が住んでいると推定。アルカイダ幹部の潜伏を疑い、今年2月ごろから重点的に調べた。報告を受けたオバマ大統領は3月半ばから会議を5回にわたり開催。最後の会議を開いた翌日の4月29日、作戦実行を許可した。

 米政府はこの情報をパキスタンを含む関係国と共有せず、極秘で進めた。オバマ大統領は4月30日夜にはホワイトハウス担当記者と懇親の晩餐(ばんさん)会に出てジョークを飛ばし、1日はゴルフに出かけていた。(イスラマバード=五十嵐誠、ワシントン=望月洋嗣)


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