「安全な農地を返せ」「東電は全て償え」――。福島第一原子力発電所の事故で出荷停止や風評被害などを受けた農家ら約400人が26日、東京都内の東京電力本社前でむしろ旗などを掲げて抗議した。
福島県や茨城県などの農家や酪農家らが集まった。トラックで福島県や千葉県の牛を運んできたほか、出荷できなくなったホウレンソウを並べ、「東電は誠意を示せ」などと訴えた。
農家の代表は賠償を急ぐよう求める要望書を東電の担当者に手渡したが、東電側は「原子力損害賠償紛争審査会の指針に沿って補償する」と答えただけだった。農漁業者への当面の賠償の範囲は28日の紛争審査会で決まる1次指針で示される見通し。避難住民へは26日から仮払いが始まったが、農漁業者は仮払いも決まっていない。まずは政府が東電に仮払いを促すかどうかも焦点になる。
東電との面談には、原発事故後に64歳で自殺した福島県の野菜農家の男性の妻も参加し、遺影を手に「東電への抗議だったと思う。一日も早く原発を止めて」と訴えた。男性は30年以上前から有機栽培にこだわり、安全な野菜づくりを誇りにしていたという。
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