東京電力は24日、東日本大震災に被災した福島第一原発敷地内の放射能汚染を示す地図を公開した。震災後の水素爆発で建屋が大きく壊れた1、3号機の周辺の空気中の放射線量が特に高く、爆発して1カ月以上たっても最大で毎時70ミリシーベルトの場所があった。敷地内の汚染の全容を示す初のデータだ。水素爆発で周辺に飛び散った放射性物質が原因と見られている。
地図は作業員の放射線被曝(ひばく)を減らしたり作業計画を立てたりするため、3月22日に作成し、更新している。放射線管理員が作業前や1週間~10日ごとに現場で空気中の放射線を測っている。極端に高い値が出ると、放射線源を見つけるためさらに周辺のがれきなどに近づいて測っている。
1号機と3号機の周辺では3月下旬には最大で毎時130ミリシーベルトを計測していた。放射能は時間が経つと減る性質があり計測値は徐々に下がっている。現時点で3号機の北西で計測されている最大の70ミリシーベルトでも、4時間そこにいると、今回の緊急作業のための被曝線量の上限(計250ミリシーベルト)を超えてしまう。被曝がこの値に達した作業員はこれ以降、作業ができなくなる。
がれきからも高い放射線を確認している。3号機の建屋西側では20日、毎時900ミリシーベルトもの放射線を出すコンクリート片が見つかった。撤去後も、その場所の空間線量は毎時10~30ミリシーベルトと高かった。毎時300ミリシーベルトを出すがれきも建屋横で見つかった。
汚染されたがれきのほとんどは、東日本大震災の翌3月12日に起きた1号機の水素爆発と、同14日の3号機の爆発で飛び散った原子炉建屋のコンクリート片などだ。原子力安全委員会の試算では、同15日までに19万テラベクレル(放射性ヨウ素換算、テラは1兆倍)と、大量の放射性物質が放出され、国際的な事故評価尺度の最悪のレベル7に達した。
また2号機の坑道から高濃度汚染水を移送している集中廃棄物処理施設近くの配管の表面線量は毎時160ミリシーベルトだった。建屋から比較的離れた敷地の端でも1ミリシーベルトを超すところが目立つ。がれきを撤去した後も、高い放射線量を示す場所があるとみられる。
福島第一原発の事故では、原子炉内や燃料プールを冷やす冷却システムが機能しなくなり、核燃料が露出したと考えられている。核燃料が壊れる過程で生じた水素によって爆発し、燃料内にあった放射性物質が周囲に飛び散り土壌や施設、がれきなどを汚染したとみられている。がれきは無人の重機を離れた場所から作業員がリモコン操作して撤去中だ。これまでに、50個のコンテナに詰めて敷地内の仮置き場に移したが、まだ相当量が残っている。
東電はがれきなどを撤去して作業環境を整えているが「汚染は工程表に織り込み済みで大きな影響を与えるものではない」としている。(香取啓介、坪谷英紀)
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