Friday, February 24, 2012

老後の備えは…AIJ委託企業に憤り 年金消失問題


2012/2/24 13:25 (2012/2/24 15:30更新)

 「年金資産はいったいどこへ」――。AIJ投資顧問(東京・中央)が預かった巨額資産の消失が明らかになった24日、運用を同社に委託していた企業に衝撃が広がった。「信頼していたのに」。老後の生活への不透明感が増す中、年金を積み立ててきた社員らからは不安とともに、怒りの声が上がった。
集まった報道陣に対応するAIJ投資顧問の弁護士(24日午前、東京都中央区)=共同
画像の拡大
集まった報道陣に対応するAIJ投資顧問の弁護士(24日午前、東京都中央区)=共同
 企業年金の運用をAIJに委託していた半導体製造装置大手、アドバンテスト。24日、東京都千代田区の本社に出勤した50代の社員は「自分の老後を支える年金なのに」と不安げ。「これまで積み立ててきたお金があずかり知らぬところで変に使われていたとしたら、とても腹立たしい」と憤りをあらわにした。
 安川電機も運用委託していた。北九州市八幡西区の本社に同日午前8時ごろ、出勤してきた男性社員(48)は「もらえるはずのものがもらえなくなるかもしれない。おかしな話だ」と憤慨。「年金は大事な個人資産。証券取引等監視委員会などはしっかり実態を解明してほしい」と要望した。
AIJ投資顧問が入るビルにかかる同社の表札(24日午前、東京都中央区)=一部画像処理しています
画像の拡大
AIJ投資顧問が入るビルにかかる同社の表札(24日午前、東京都中央区)=一部画像処理しています
 東京都内にある、百数十社の中小メーカーなどが加入する厚生年金基金は、7年前からAIJに年金の運用を委託。当初5億円を委託したが、毎年5~8%の利回りを上げ続けていると説明する同社を信頼し、額を増やしたという。現在は基金全体の約1割に当たる20億円を委託。同年金基金の幹部は「運用難で苦しいなか、一番利回りを上げてくれていると思って信頼していたのに」と唇をかんだ。
 年金資金の約10%、約15億円をAIJに運用委託していた、約270社が加入する京都府建設業厚生年金基金(京都市中京区)も「報告される運用実績は断トツだったので安心して任せていたのに」(竹内一義常務理事)と驚きを隠さない。「元本だけでも確保できるかどうか、加入者からの問い合わせに備え、情報を集めたい」と話した。
 運用を委託していた企業の中には、事実確認に走る動きも。甲信越地方の石油業界団体の厚生年金基金の常務理事は24日早朝、AIJ本社に向かった。事務所に残された男性職員は「状況がまるで分からない」と困惑した様子だった。

No comments:

Post a Comment