Friday, October 7, 2011

07/10 アフガン10年―粘り強く対話の道を

米国が同時テロへの報復として、アフガニスタンを攻撃してから、7日でちょうど10年になる。7月から米軍の撤退が始まっているが、和平への努力は入り口でつまずいている。

それどころか、2014年の米軍撤退完了をにらんで、インド、パキスタン、中国など周辺各国が新たなパワーゲームにのめり込む兆しが見えている。

首都カブールで先月、厳重に警備されている米国大使館がロケット砲で攻撃された。反政府勢力タリバーンの襲撃だ。ビルにたてこもるゲリラとの銃撃戦は19時間も続いた。

ベトナム戦争の解放勢力によるテト攻勢を思わせる大胆な攻撃だった。カルザイ政権も米国もメンツ丸つぶれである。


その直後、タリバーンとの和平交渉を担当するラバニ元大統領が、カブールの自宅でテロに遭い殺害された。和平努力への大きな打撃である。

これに対し、カルザイ大統領はタリバーンとの和平交渉の打ち切りの意向を表明。暗殺にパキスタン当局が関与したとして「テロリストを使っての裏表のある行動」と非難した。

さらに、大統領はインドと戦略的協調関係を結ぶと宣言した。大国インドとの関係強化で、パキスタンを牽制(けんせい)しようという狙いだろう。パキスタンが反発するのは必至だ。

アフガン和平のカギは、タリバーンを対話のテーブルにつかせることだ。その実現には後ろ盾のパキスタン政府の協力が不可欠だ。なのに大統領とパキスタンが不信を募らせていては、交渉の糸口もつかめなくなる。

仲介役が期待される米国も、いら立っている。パキスタンは米軍の補給ルートであり、対テロ戦の戦場である。核保有国でもあり、米国にとって重要な国だ。それでも、米軍制服組トップのマレン統合参謀本部議長が「テロ勢力はパキスタン政府の支援を受けている」と異例の厳しさで指摘した。

反発したパキスタンのギラニ首相は、友好国である中国に接近する動きも見せている。

まさに泥沼である。複雑に絡みあう関係各国の疑心暗鬼が、アフガンの政情不安をあおる。交渉による和平への取り組みが失速すれば、1989年のソ連軍撤退の後のような内戦が再燃することになるだろう。

まず米国には、アフガンとパキスタンの双方を説得して協力関係を築いてほしい。

そしてカルザイ大統領は、アフガン人同士で和平をめざす基本に立ち返り、タリバーンとの対話を粘り強く探るべきだ。

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