6月30日付
昔、子供の遊びに〈家族合わせ〉というのがあった。かるた、トランプの類の札遊びで明治から昭和前期まで全国で流行した◆戦後は間もなくすたれたから、今や、知る人も少ない。決まった構成はないが、1家族5、6人ほどで、父母、兄弟姉妹などが、別々の札に描かれていた◆家族は何組かあり、職業別に家長の氏名がある。銀行員なら石部金吉、警官なら民尾守など。家族ごとにその一家全員をそろえたものが勝ちのゲームだった。これが遠い昔の遊びになったのは無理もない◆総務省がきのう発表した2010年国勢調査の抽出速報集計によると一人暮らし世帯の割合が初めて3割を超え、家族類型別のトップになった◆何と一人暮らし世帯が「夫婦と子供」の世帯を上回ってしまった。未婚者や高齢者の増加が一人暮らしの数を押し上げたらしい。少子高齢化はいよいよ深刻な様相だ◆1920~55年の35年間、日本の家族規模は平均5人強でほぼ横ばいだった。思えば、これが〈家族合わせ〉の時代と重なる。
(2011年6月30日13時41分 読売新聞)
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