【動画】約10mの津波に襲われた仙台市若林区
消防隊員の向こうにみえる木々は震災前、うっそうとしげる松林だった。津波から人家を守る防潮林として期待されたが、想定の3倍の津波には無力だった=仙台市南東部
東日本大震災で死者数百人が確認された仙台市若林区の荒浜地区で、津波の高さが10メートルに達していたことが17日、東北大の今村文彦教授(津波工学)の調査で分かった。平野部としては世界最大級という。宮城県が想定した高さの約3倍の津波は、防潮堤や防潮林を越え、集落を襲った。
荒浜地区で、住民が逃げ込んだ小学校の校舎の高さ10メートル部分まで津波の痕跡があった。荒浜地区から名取市まで、ほぼ全域で高さ10メートルの津波の跡があった。平野部は津波が増幅されにくく、三陸海岸などでは増幅され、平野部の2倍を超えた可能性がある。今村さんによると、平野部の津波は2004年のインド洋大津波で観測された十数メートルが最大という。
想定を超えた津波のイメージ
宮城県は、過去最大級の津波だった宮城県沖地震(連動型)を想定して、この地域は最大2~3メートルと予測。約5メートルの防潮堤と幅50~数百メートルの松林で備えていたが、今回の津波はその3倍だった。
名取市の漁港では、津波では壊れないとされる鉄筋コンクリートの建物も破壊された。今村さんは「想定外の非常に強い津波が来た。防災施策に携わってきた自分としては、忸怩(じくじ)たる思いだ」と話した。(長野剛)
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