Monday, July 11, 2011

11/07 憂楽帳:失言の余波

 宮城県の仮設住宅で4日、被災者の人たちを取材していた時のことだ。ある女性が渡したばかりの名刺を見て、こう言った。「福岡からけぇ? あの人のこと、よく選んだなっす」

 あの人とは、「助けない」発言で復興担当相を辞めた松本龍衆院議員(福岡1区)のことである。怒りは燃え広がり、おさまる気配がない。
 別の被災者が地団駄を踏む。「知事は汗水垂らして宮城のために頑張ってるよ。それを『しっかりやれ』って上から目線。国ってそんなに偉いんですか?」。「知事に向けた発言」は、復興へと歩み始めた「被災者への侮辱」と受け止められた。
 「九州の人間」が、失言で大臣ポストを追われたケースは過去にもある。事故米問題で「消費者がやかましい」と発言した太田誠一元農相(福岡)、原爆投下をめぐる「しょうがない」発言で批判を受けた久間章生元防衛相(長崎)らだが、失言の代償はいつも、本人が思う以上に大きい。
 震災発生から4カ月。被災地にはさまざまな格差が広がっている。今こそ未来へのメッセージが必要だ。政治の力の見せどころである。【鈴木美穂】
毎日新聞 2011年7月11日 西部夕刊

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