Wednesday, June 22, 2011

22/06 よみうり寸評 - 震災発生からすでに百箇日、卒哭 そっこく 忌も過ぎたが、涙の話題の尽きることがない


6月22日付

 朝のNHK・連続テレビ小説「おひさま」には泣かされる。昭和19年、20年の戦争末期の銃後の暮らしに思わず涙腺が緩むのだ◆けさは、東京大空襲を信州・安曇野で心配する人々の話。ヒロイン・陽子先生の東京の祖母は無事だったが、担任の児童で、妹と二人で疎開しているけなげな杏子ちゃんは両親を失った◆陽子先生の夫と二人の兄は出征中。夫とは結婚式から翌朝まで一日暮らしただけだ。苦境の数々に涙するのだが、それは、悲しみと不条理が3・11以後のそれと重なるから余計そうなのかも知れない◆こちらも数々の記事に何度も涙した。震災発生からすでに百箇日、卒哭そっこく忌も過ぎたが、涙の話題の尽きることがない◆あの日、防潮堤の水門閉鎖や住民の避難誘導に活躍中、多くの消防団員が大津波にさらわれて死亡、行方不明になった。無論いずれも公務中のこと◆だが遺族に支払われる消防団員福祉共済の弔慰金が不足で規定の4割しか支給できない。涙とともに不条理も尽きない。政府の手厚い支援を望む。
(2011年6月22日13時49分  読売新聞)

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