Tuesday, June 21, 2011

21/06 よみうり寸評


6月21日付

 大震災発生の3・11、東京で多数の帰宅困難者が出た際、JR東日本の対応は極めて問題だった◆駅舎のシャッターを下ろして乗客を寒空に閉め出したり、早々と終日運転中止を決めたり、私鉄や地下鉄のがんばりと比べてもどうかと思える対応だった◆きのう、JR東日本の清野智社長が石原都知事に謝罪した。都知事のJR批判と抗議は「その通りだ」と思う。あの日は腹立たしく思いながらも三陸の大津波、福島原発の惨状を思い、自分の苦情は抑えていた人も少なくなかろう◆JRは線路内立ち入りなど構内の危険を避けたというが、非情な対応だった。対照的にあの日、都心で帰宅の足を失い、大和市まで徒歩で帰ろうとした友人S君の話を思う◆麹町から7時間歩き神奈川県に入った所で運転再開した田園都市線に乗れたのだが、途中、三軒茶屋付近で小さなイタリア料理店の夫婦が徒歩の帰宅者たちに紙コップのスープを無料で振る舞っていた◆公共の足・JRの冷たい対応とは対照的な温かい思いやりだった。
(2011年6月21日13時39分  読売新聞)

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