Monday, June 18, 2012

[FT]米ロはシリア問題解決に向け協力を(社説)



2012/6/18 14:00
(2012年6月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
 ロシアのプーチン大統領は18日、メキシコで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議で、5月に大統領の座に返り咲いて以来初めてオバマ米大統領と会談する。両首脳はシリア危機の解決に関する意見の相違解消に努める見通しだ。アナン前国連事務総長が主導してきた停戦調停が破綻した以上、両首脳に失敗は許されない。
■有効な手立てを持つ両首脳
ロシアのプーチン大統領は大統領復帰後初めてオバマ米大統領と会談する(2009年7月7日、モスクワで会談した両氏)=AP
画像の拡大
ロシアのプーチン大統領は大統領復帰後初めてオバマ米大統領と会談する(2009年7月7日、モスクワで会談した両氏)=AP
 アサド政権はますます絶望的になっている。兵士は離反し資金は底を突きつつある。だがそれは、現時点では双方の武力衝突が激化していることを意味しているにすぎない。戦闘により1万人超の命が奪われたことで、国連シリア監視団は、停戦監視活動の一時停止を余儀なくされた。「内戦状態」はすでに現実のものとなっている。
 オバマ大統領とプーチン大統領はいずれも、危機解決に向けて、より有効に用いることができる方策を有している。アラブ高官によると、ロシア政府とイラン政府からの資金援助が、資金が底を突いた際にシリア政権を存続させ得る唯一のものだという。資金が底を突く日はそれほど遠くない。ロシア政府は、資金力を利用して(アサド政権に)反政府勢力との交渉を迫るべきだ。ところがロシア政府は、アサド政権への圧力を強める国際社会の取り組みを阻止しつつ、同国での外交的な影響力を強めている。
 米政府は当然のことながらこの姿勢への批判を強めてきた。リビアに政権交代を迫った国際的行動に対してロシアが抱く裏切られたという思いは、無実の市民への新たな襲撃が繰り返されるたびに、取るに足りないものとなっている。しかしながら、クリントン米国務長官をはじめとした、ロシアがシリアに攻撃ヘリコプターを輸出したとする誤った発言を受けて、ロシア政府は欧米の意図に不信感を強めている。
■米ロは政治解決に向けて歩み寄りを
 米ロはともに政治解決を構築する妥協点を見いださなければならない。特にシリアの化学兵器の保有に関する詳細な知識を考えれば、ロシアがアサド政権崩壊後の混乱を懸念するのはもっともな話だ。政治的な解決には、すべての正当性を失った独裁者の退陣など、現政権の一部メンバーとの外交の負の側面での協定も必要となろう。米政府は、反政府勢力を援助する地域勢力への影響力を利用してこのような協定を結び、戦略的利益が保護されたとロシア政府に安心感を与えることも可能なのだ。
 G20はシリア情勢などに対処するために組織されたわけではないが、ロスカボスに集まる各国首脳はこの機会を利用して、政権側と反政府勢力側の双方に対して、武力行使に歯止めをかけるために一層努力するよう促すべきだ。メキシコは、新たに虐殺が行われると報じられているシリア西部ホムスとは遠く離れているが、この地から命を救うことができるかもしれない。
(c) The Financial Times Limited 2012. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

No comments:

Post a Comment