小売り品ぞろえ・出店強化
東北地方で消費が急速に伸びている。(畠山朋子)
東日本大震災で失われた日用品や衣類、家電製品の需要が膨らんでいることに加え、帰省やイベントなどの来訪者による「応援需要」も好調なためだ。こうした需要を取り込もうと小売り大手各社は、新規出店の強化や品ぞろえの充実を急いでいる。
需要
お盆の帰省ピークだった13~14日のイトーヨーカ堂の東北地方各店舗の合計売上高は、前年同時期を10%以上上回った。揚げ物やすし盛り合わせなど、大人数向けの食品が好調だった。
イオンも、同様に店舗売上高が1割以上増えた。
今夏は震災の被害を心配した東北出身者や関係者の帰省客が多かった。仙台市の「仙台七夕まつり」の人出は203万人と、予想の175万人を大きく上回るなど、東北地方のイベントを訪れる観光客が増えた。
宮城県内に30店舗を持つウジエスーパーの担当者は「例年より県外からの買い物客が多い」と話す。
さらに、震災直後はいったん落ち込んだ被災地も、復興が進むにつれて消費が急速に伸びている。
仙台三越(仙台市)では5月以降、食器や布団などの売上高が40%以上増えた。イトーヨーカドー仙台泉店でも、電子レンジなど住居関連商品の売上高が、前年の1・5倍となった。
東北経済産業局が8日発表した6月の大型小売店販売額は前年同月比3・4%増と、2か月連続で前年を上回った。
競争過熱
小売り各社も東北への出店を強化している。
ファミリーマートは今年度の岩手、宮城、福島の3県への出店を当初予定の5倍の85店舗に増やす。ミニストップは、2013年度までの宮城、福島両県への出店計画を当初の3倍に増やした。
被災地に店舗がなかった家具販売大手イケアの日本法人イケア・ジャパンは9月末、仙台市泉区に仮設店舗を開設するなど、各社の出店競争は過熱している。
季節ごとに生活用品の需要も変わるため、小売り関係者の間では「復興特需は1年程度続くのでは」との見方が強い。
(2011年8月18日 読売新聞)
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