1部上場 4~6月期決算
大手企業の2011年4~6月期決算がほぼ出そろった。(石原毅人、鹿川庸一郎)
金融を除く東証1部上場1123社(11日時点。SMBC日興証券まとめ)の経常利益の合計は約5兆2100億円と、前年同期比で20・3%減の大幅減となった。東日本大震災による打撃と円高が業績を押し下げた。秋には生産はほぼ復旧する見込みだが、円高や、不透明感が強まる海外市場など、企業が描くV字回復シナリオには課題が立ちふさがる。
■部品不足
■部品不足
経常利益の業種別では、自動車メーカーなどの輸送用機器が前年同期比78・1%減、電気機器が同58%減、鉄鋼が同17・8%減となるなど、製造業の大幅減益が目立った。
工場の直接被災だけではなく、部品の供給網が寸断されて生産が止まり、「モノを作りたくても作れなかった」(SMBC日興証券の橘田憲和氏)ことが響いた。
自動車業界は3月の震災直後に生産がほぼ止まり、フル生産は半導体などの部品不足と電力の供給不安が和らぐ秋までずれ込む見込みだ。このため、トヨタ自動車は本業のもうけを示す営業利益が1079億円の赤字に転落するなど、自動車大手8社のうち7社が営業利益が減益もしくは赤字となった。
電機業界も、生産拠点の打撃や減産などが響き、パナソニック、ソニー、富士通などが税引き後赤字となった。
一方、地上デジタル放送移行直前のテレビの買い替えや、節電関連商品の売れ行きが好調だった小売りは77・7%増となるなど、内需関連で増益が目立った。
■展望
■展望
12年3月期通期の経常利益予想は、11年3月期決算発表時に公表していた975社のうち101社(10・3%)が上方修正するなど、生産復旧とともに今後のV字回復を見込む企業は多い。トヨタ自動車とホンダは、12年3月期の連結売上高予想を、6月時点に比べてそれぞれ4000億円上方修正した。
部品の供給網の復旧が「想定をはるかに超えるスピードで進んだ」(トヨタの伊地知隆彦取締役専務役員)ため、秋以降の増産で4~6月期の落ち込みをカバーできると判断した。
ただ、製造業の多くは4~6月期決算で、想定為替レートを1ドル=80円に切り上げたが、足元の円相場は戦後最高値に迫る76円台で推移している。
輸出先である欧米市場も失速傾向を強めている。ソニーの加藤優執行役は「欧米市場が悪化している」として、今年度のテレビの世界販売見通しを2200万台と500万台引き下げた。
円高と海外市場の失速は海外シフトを強める国内企業に大きな打撃となる可能性が高く、今後の業績には不透明感が強まっている。
(2011年8月18日 読売新聞)
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