Sunday, June 26, 2011

26/06 編集手帳 - 悪法は二度と作らぬ、の誓いと受け取った


6月26日付

 <らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の碑>と刻まれている。先週、厚生労働省前で催された除幕式を見て、予防法廃止に尽力した今は亡き2人のことを考えた◆京都帝大医学部助教授だった小笠原登氏。ハンセン病は感染力が微弱で治癒可能だとして、予防法による患者の強制隔離や、子孫を断つ断種手術などをやめよと主張した。が、1941年の学会で「地球を四角だと言うに等しい」と糾弾され葬られる◆大学で小笠原氏に師事した大谷藤郎氏。旧厚生省に医系技官として入り、療養所患者の待遇改善を進めた。退官後は、根本解決を目指して、予防法廃止の必要性を学会などで主張した。師弟の志は半世紀を経て、96年の予防法廃止につながった◆「法が患者を蔑視・差別する根拠としてまかり通ってきた。正しくないだけでなく、加害行為であり、社会的、人道的に決して許されるべきものではなかった」。大谷氏の『らい予防法廃止の歴史』(勁草書房)にある◆当時の厚相は菅直人氏。除幕式で、菅首相は「二度と過ちを繰り返さない」と語った。悪法は二度と作らぬ、の誓いと受け取った。
(2011年6月26日01時32分  読売新聞)

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