Friday, June 24, 2011

24/06 よみうり寸評 - 「信」はにんべん、つまり人に言だ。人の言葉は「まこと」でなければならない


6月24日付

 「好胤のことば」という本が出た。初版第1刷6月22日発行。薬師寺の元管主、高田好胤さんは平成10年のこの日に亡くなっている◆没後13年で世に出たこの一冊は、娘の高田都耶子さんが遺品の中から見つけた古い録音テープを再生、学生社から刊行した◆「話の散歩道」という大阪朝日放送のラジオ番組で語った法話。昭和44年から2年間、毎日一話3分で放送されたものから82回分が選ばれた。好胤さんが「心の種まき」と言っていた法話を懐かしい思いで読んだ。そのうちの一話〈人の言葉と書いて「信」〉を紹介しよう◆「漢字をじっと見ているといろいろな教えが含まれています」ということで、「法」と「信」の二つの漢字について語っている◆「法」はさんずいに去ると書く。つまり水が去るのが法だ。揚子江や黄河のような大河が氾濫しないように、水を去らしめるのが、天下を治める法ということだ◆「信」はにんべん、つまり人に言だ。人の言葉は「まこと」でなければならない。ペテン師に聞かせたい。
(2011年6月24日14時22分  読売新聞)

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