2011年3月18日20時5分
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[東京 18日 ロイター ] 長期化しているみずほ銀行のシステムトラブルが、決済システム全体に影響を及ぼしかねないとの懸念が浮上し始めた。システムトラブル4日目の18日になっても解消のメドは立っておらず、安全策を取る企業が資金決済を他行に移せば、他行のシステム負荷が増すことになり、決済システムが不安定になりかねないからだ。
<震災プラス年度末で、最悪のタイミング>
「今回のシステムトラブルは最悪のタイミングだ」――。金融庁のある幹部は、こう漏らす。東日本大震災の非常時に加え、年度末と月末が重なっており、1年の中で最も資金決済が集中する時期だからだ。「被災した金融機関のシステムさえ稼働しているのに、なぜ被災もしていないのにシステムが動かないんだ」と同幹部は続ける。
トラブル4日目となった18日、みずほは同日朝に入金されていなければならない給与振り込み62万件、1256億円が処理できてないと発表。これまでの未処理分を合わせると100万件以上の振り込み手続きが遅延していることになる。みずほは18日も、15日を指定日とする振り込み取引の処理を進めている。19日からの3連休はATMを止め、未処理案件をすべて処理した上で、完全復旧にこぎ着けたい考えだ。
<銀行連鎖トラブルのリスクも>
みずほのシステムが無事に復旧するか、他行も見守っている。万全の態勢で復旧作業に取り組んでいるみずほだが、万が一でも、週明けにシステムが立ち上がらなければ、給与振り込みなどの決済業務が、自分の銀行に降りかかってくる可能性があるからだ。ある大手銀行幹部は「すでにみずほの取引先から相談を受けている」とも打ち明ける。
他行が代わりを引き受けるにしても、25日は給与振り込みのピーク。各行ともシステムにバッファーは確保しているものの、余裕が十分にあるわけではない。しかも、準備のためには二日前には企業からそれぞれの銀行のフォーマットに合わせた磁気データを受け取らなければらないという制約もある。「下手に代わりを引き受けて、システムトラブルの連鎖を起こすわけにはいかない」と先の幹部は続ける。
企業の資金決済リスクもある。みずほへの入金が行われないことで、資金の受け取りを当てにしていた企業の資金繰りが一時的につかなくなる可能性もあるからだ。震災で、日銀は兆円単位の流動性供給を実施。日銀の中には、銀行が資金を抱え込む状態が続いているなかで、みずほの決済に支障が広がれば、代わりに資金供給を果たさなければならないリスクを抱えて、さらに資金を抱え込む動きが強まる懸念も浮上している。
(ロイターニュース 布施太郎 竹本能文;編集 石田仁志)
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