Wednesday, June 13, 2012

[FT]ミャンマー改革の行方 スー・チー氏が大きな役割(社説)



2012/6/13 21:39
(2012年6月13日付 英フィナンシャルタイムズ紙)
 授与決定から21年かかったが、アウン・サン・スー・チー氏はオスロでノーベル平和賞の受賞講演に臨む。彼女は今、国会議員としてどこにでも自由に行ける。ミャンマーをめぐる状況がここ1年でいかに大きく変わったかが分かる。
 だが、喜んでばかりもいられない。民族対立を原因とする衝突事件が発生し、ミャンマーが難しい問題を抱えていることが浮き彫りになったからだ。イスラム教徒と仏教徒との衝突で17人以上が死亡し、テイン・セイン政権は非常事態を宣言した。
 政権側は平静を保つよう呼びかけて、スー・チー氏も賛同した。しかし、新政権もスー・チー氏も民族対立を解決するための確固たる案を示していない。
 軍事政権は少数民族を容赦なく弾圧するという手法で民族問題に対処してきた。報道機関による監視の目が光り、その手法は選択しにくい。政権側も国際的なイメージを良くしたいと思っている。
 しかし、長年くすぶってきた民族対立が一気に表に噴き出し、武力衝突が深刻になりかねない。ミャンマーがアジアのユーゴスラビアになってしまうという悪夢のシナリオも考えられる。
 ミャンマーは政治の改革をいかに国民の貧困解消につなげるかという基本的な問題を抱える。
 外国からの投資に期待が高まっているが、スー・チー氏は制裁をいつ解除すべきかについてはっきりした態度を見せない。投資が自由に入ってきたとしても、民族対立で緊張する地方ではなくヤンゴンに向かうだろう。
 彼女の役割は軍事政権と対立していた時よりも難しくなっている。彼女は政権に対する批判と、改革に取り組む大統領を支える必要性とをはかりにかける必要がある。その2つの均衡を取ることはかなり難しい。
 スー・チー氏は軍事政権に勇敢に立ち向かうことでノーベル賞を受賞した。この困難な時期を乗り越えようとする努力に国会議員としてどう貢献できるのか、大いに注目される。
(c) The Financial Times Limited 2012. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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