いまや一般家庭での普及率は70%を超え、“お尻を洗う”文化がすっかり定着した感のある温水洗浄便座。その先駆けとなったTOTOの『ウォシュレットG』(1980年発売)に、このほど日本機械学会より「機械遺産」の称号が与えられた。
生活の発展や社会に貢献し、歴史的に意義がある――というのが認定の理由だが、ウォシュレットの普及はどちらかというと国内限定で、世界各国のトイレでウォシュレットのお世話になることはまだまだ少ない。
「中国、アメリカ、欧州、アジア・オセアニアなど世界各国でも販売していますが、日本のような普及率はまだまだ望めず、具体的な販売数字は出していません。まずは高級ブランドの地位を確立すべく、ホテルなど公共施設を中心に納入しています」
日本発のハイテク商品ゆえに、文化や仕様の違いを解消するのも一苦労だという。
「アメリカやヨーロッパなどではトイレにコンセントを設置する意識が低いし、日本のように軟水ではなく硬水の地域では、ノズルの掃除が大変といったメンテナンス面の煩わしさもある。そして、日本人のお尻の大きさに合わせて洗浄水の噴射角度を43度に固定したような、緻密な開発データを各国向けにカスタマイズするにも時間がかかる」(経済誌記者)
そして、各国の“お尻事情”もさまざまであることが普及の妨げになっているとの指摘がある。
「日本人は野菜や海草類など食物繊維が含まれた食べ物を多く採るために、便の量は多く柔らかいのに対し、肉食の多い欧米人は消化不良で排出すべき便を長時間腸内に溜めているので、水分がなくなりコロコロとした硬い便が出やすい。だから、わざわざお尻を洗う必要性も感じにくいのでは?」(都内の内科医)
とはいえ、一度慣れると、あまりの爽快さにウォシュレットなしでは用が足せなくなるのも事実。日本の匠の技が詰まった機械遺産が世界を席巻する日はそう遠くないはずだ。
2012年07月24日07時00分
提供:NEWSポストセブン
No comments:
Post a Comment