Tuesday, June 14, 2011

14/06 よみうり寸評


6月14日付

「人間はそうなってほしくないことは考えない、そういう習性がどうしてもあり、それが取り返しのつかないことの原因になる」◆畑村洋太郎東大名誉教授の言葉で中央公論7月号の特集〈「想定外」の虚実〉中の一編〈「失敗学」から見た原発事故〉にある。大規模な貞観じょうがん地震が知られていたのにその規模に応じた備えがなかったのは残念至極だ◆貞観は9世紀の昔でほぼ忘れられていた。加えて都合の悪いことは考えない習性が重なった防災対策で不幸な結果を招いたようだ◆そんな想定外の巨大津波が来たら「助かる方法は一つしかない。高台や頑丈な建物の上部へ逃げることだ」と畑村教授◆そのうえで、想定外に無力なマニュアルに頼ることをやめ、自分の頭で考える習慣を薦めている。岩手県釜石市の小中学生のほとんどが助かったのは自分の頭で考える防災教育の成果という◆「想定を信じるな」「その状況下で最善の避難行動をとれ」「率先避難者たれ」がその教え。昔も今も〈三十六計逃げるにしかず〉か。
(2011年6月14日13時40分  読売新聞)

No comments:

Post a Comment