定年を迎えた社員の継続雇用では、必ずしも希望者全員が働き続けられるわけではない。定年後は違う職場で働きたいという人もいるだろう。
職探しをする際、頼りになるのが雇用保険の基本手当、いわゆる失業給付だ。ハローワークで求職の申し込みを行い、失業と認定されることで、手当が受け取れる。社会保険労務士の吉本俊樹さんは「基本手当がいくら、どのくらいの期間もらえるかを把握しておくのは、就職活動するうえで大事です」と話す。
手当の金額は退職前の半年間の賃金総額が基になる。総額には給与や手当は含まれるが賞与は含まれない。総額を180で割ったもの(賃金日額、小数点以下切り捨て)に一定の乗率(60~64歳の場合、45~80%)をかけた額が「基本手当日額」となる。
退職前の半年間の月給が36万円とすると、賃金総額は36万×6か月=216万円。これを180で割った額に、所定の乗率の45%をかけ、基本手当日額は5400円となる。
なお、基本手当日額には上限がある。60~64歳の場合は6543円だ。
次は、手当が何日間もらえるかだ。基本手当日額の給付日数は、雇用保険の加入期間や年齢、退職の仕方などで異なる。加入期間が20年以上の定年退職者の場合、給付日数は150日(=約5か月)となる。
注意したいのは「60歳で公的年金の受給資格がある人でも、基本手当を受け取っている間は年金を一切もらえない」(吉本さん)という点だ。
退職前の月給36万円という先の例だと、基本手当は30日(=約1か月)で16万2000円だ。一方、60歳から受け取れる公的年金は、月9万~10万円が多い。一般的には、基本手当を受け取る方が手取りが多くなる。
もっとも、好条件の再就職先が見つからず、継続雇用された方が給与が多かったということもあり得る。基本手当がもらえるからと安易に就職活動を選ぶのではなく、どういう働き方が自分に合うのか、じっくり考えたい。
(2011年3月24日 読売新聞)
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