Saturday, April 23, 2011

14/04 よみうり寸評 - TEPCO President: ベストを尽くした

4月14日付 

 「ベストを尽くした」と東京電力の清水正孝社長。きのうの記者会見で言った。それでいいの?と思う◆〈ベストを尽くす〉は決意表明には向いた言葉だが、思うに過去形で「ベストを尽くした」はどうか。特に成果の上がっていない場合なら、聞く側はしらけたり、激怒することもあろう◆福島第一原発の事故は収束の見通しが立っていない。対応の不手際が指摘されているが、社長は「適切な対応だった」とも言った。菅首相が「近く示される」と言った収束の見通しは「一日も早く」と言うばかりだ◆被害者への賠償は「仮払いをしたい」と述べたがこれも「国と協議して」の話。すでに海江田経産相が100万円の数字を出した後だが、全く具体的でない◆今回の「ベスト発言」で、阪神大震災の際、当時の村山首相が「最善の措置をとった」と答弁、追及されたことを思い出した◆事故後、体調を崩して戦列を離れたこともある人の「ベスト」はいたわるが司令塔としての「ベスト」にはより厳しい目が欠かせない。

(2011年4月14日13時54分 読売新聞)

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