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Sunday, April 10, 2011

08/04 (4)福島事故の汚染度は

基礎からわかる原子力発電

 東京電力・福島第一原子力発電所の事故では、大量の放射性物質が大気圏や海域に放出され、私たちの生活にも大きな影を落としている。政府や東電の発表では、「今のところ」「直ちに」影響はない――が繰り返されるが、実際のところ放射線の影響はどうなのか。放射性物質の総量、健康影響、生活の工夫など、暮らしの視点で放射性物質を考えよう。

スリーマイルを超える

 福島第一原発事故で、これまで大気中に放出された放射性物質の量はどのくらいか。汚染の全体像を、これまでの事故などと比較してみよう。

 被災した福島、宮城両県を除く各都道府県の観測所では、3月18日から、放射性物質セシウム137の降下量を24時間ごとに観測し続けている。セシウム137は世界的な放射能汚染の指標だ。

 調査の結果、4月5日朝までの18日間の降下総量は、茨城県ひたちなか市で1平方メートル当たり2万6399ベクレルに達し、東京・新宿区でも6615ベクレルとなっている。事故後、初めての雨となった3月21日から22日には雨と共に大量に降下し、汚染は関東を中心に1都13県に広がっている。

 私たちは、放射能汚染とは無縁の暮らしを続けてきたと感じがちだが、「核の時代」と呼ばれた20世紀には、放射性物質を世界中にまき散らした歴史がある。

 日本で放射性物質の調査が始まったのは1957年に遡る。その3年前、米国の大気圏核実験で、マグロ漁船「第五福竜丸」が被曝ひばくし、半年後に船員が亡くなった問題がきっかけだった。当時は、冷戦の真っただ中。米国や旧ソ連などが核実験を繰り返し、62年には178回以上行われ、プルトニウムなど大量の放射性物質を大気圏に拡散した。大阪市では63年5月、688ベクレルのセシウム137を検出。全国的には今以上に切実な事態だった可能性もある。

 一方、最悪の放射能汚染を招いたのが、86年4月、旧ソ連・ウクライナで起きたチェルノブイリ原発事故だ。広島型原爆の約400倍という約7トンの放射性物質が北半球全域に飛散。金沢市で5月の降下量は計318ベクレルを記録した。

 原発の周囲30キロは148万ベクレル以上のすさまじい汚染で、住民は強制移住させられた。地域的には、ドイツなど7万ベクレル以上を検出した地点も散在している。旧ソ連のベラルーシやモルドバ、オーストリア、フィンランドなどでは、国土全体の平均降下量が1万ベクレルを超えた。今回のひたちなか市などの地域では、米・スリーマイル島原発事故(79年)を超え、チェルノブイリ事故後の欧州並みといえそうだ。

 4月以降、関東各地の降下量は低減しており、1日あたりの量では60年代初期と同レベルに落ち着いている。専門家は「健康には問題のないレベル」と指摘しているが、福島第一原発では高濃度汚染水が海に漏れ出し、海洋生物への被害拡大が危惧されている。

リスクは…平時:年1ミリ・シーベルト以下 非常時:基準変更も

 放射線の健康影響には、「平時」と「非常時」の二つの基準がある。私たち市民の目安は、極力安全サイドに立った「平時の基準」だ。

 各国の専門家でつくる国際放射線防護委員会(ICRP)では、一般住民が1年に浴びて良い人工の放射線量を1ミリ・シーベルト以下と設定している。原爆被爆者の健康調査などから、被曝量が100ミリ・シーベルト以上になるとがん発症が増える可能性があるとのデータに基づき、「80歳まで放射線を浴び続けたとしても、80ミリ・シーベルト以下に抑えられる」量と考えたのだ。

 一方、原子力発電所の事故などを想定した災害時の基準もある。日本の原子力安全委員会は、この10倍にあたる年10ミリ・シーベルト以上を「屋内退避が必要」な線量としている。

 さらにICRPは2007年、「非常時には、一般住民の限度の目安を年20~100ミリ・シーベルトまで引き上げてもよい」と勧告。チェルノブイリ原発事故などの経験を踏まえ、危機を回避するための作業が続く間の一時的措置として示したものだ。

 佐々木康人・日本アイソトープ協会常務理事は、「年20ミリ・シーベルトの放射線量を浴びても、吐き気や火傷などの身体的影響は出ない。発がんのリスクが上がるとされるが、避難しないですむなどのメリットがある場合、限度を引き上げる選択肢がある」という。

 年間線量限度の非常時に対応した値への移行は、原子力安全委員会が、汚染の規模や地域ごとの線量を基に判断し、政府に伝えて決定される。

 一方、日本では原子力従事者の被曝総量を5年間で100ミリ・シーベルト以下と設定していたが、政府は今回の事故後、これを250ミリ・シーベルトに引き上げている。さらにICRPでは、緊急時には救急隊員などの被曝総量は500~1000ミリ・シーベルト以内に抑えられればよいと勧告している。

ベクレルとシーベルト
 1ベクレルは放射性物質の原子核が毎秒1個崩壊して、放射線を出す能力。シーベルトは、放射線を受けた際に体が受ける影響の度合いを示す。ベクレルの数値を、核種や被曝形態などを考慮した一定の計算式に基づいてシーベルトに換算する。

お金に例えると…100円以下は被害小さく

 「平時」は年間1ミリ・シーベルトとされる被曝量だが、事故などの際には、本当に健康影響が心配される線量の判断が求められる。その理解を助ける放射線の“換算表”がある。

 原子力安全研究協会研究参与の岩崎民子さんが、主婦向けの勉強会用に考え出したもので、「お財布の中の1円玉を1ミリ・シーベルトと数えてください」という。10ミリ・シーベルトは10円玉、100ミリ・シーベルトなら100円玉に置きかえる。

 被曝総量が500円になると、一時的にリンパ球細胞が減少するなどの影響があり、千円札(1000ミリ・シーベルト)では、頭痛やめまいなどの症状も起きる。

 同じ線量でも被曝時間が短いほど影響が大きく、JCO臨界事故(1999年・茨城県)など、1万ミリ・シーベルトを一瞬に浴びると、死亡など深刻な事態になる。一方、100円玉(100ミリ・シーベルト)以下では、健康被害はないと見られている。

 岩崎さんは「1円(1ミリ・シーベルト)以下の世界(マイクロ・シーベルト)では、健康の心配は全くありません」と話している。

(2011年4月8日 読売新聞)

04/04 (3)行政のしくみは

基礎からわかる原子力発電
    原子力安全委に強い権限

 原子力エネルギーは、どんな役所や組織が担ってきたのだろうか。

 長期的な視野で原子力の開発・利用計画を立案する司令塔は、「原子力委員会」。首相が任命した5人の委員と54人の専門委員らで構成され、10年先までの行政の基本方針となる原子力政策大綱を作る。

 原発の安全規制を担うのは「原子力安全委員会」だ。原子炉や耐震構造などのエキスパート約400人を抱える。事故への対策や放射性物質の拡散範囲を予想、首相に助言もできるなど、強い権限を持つが、今回は情報発信力の弱さが目立つ。

 本来なら専門家集団として事故の概要を説明し、国民の不安を解消する役目を担うが、記者会見を開いたのは、事故から12日後の23日で、「信頼できる情報を発信できていない」などと批判された。

 一方、経済産業省には、運転中の原発を監督する原子力安全・保安院があり、商業用原発などを定期検査している。今回のように、緊急事態が発生すれば、首相が「原子力緊急事態宣言」を出し、自らをトップとする原子力災害対策本部を設置する。また、高速増殖炉「もんじゅ」を開発する日本原子力研究開発機構など次世代炉の研究を進める組織があり、これらの外側に電力会社、原子炉の製造メーカーなど、多種の企業が存在し、巨大なネットワークで原子力を支えている。

(2011年4月4日 読売新聞)

(2)歴史と将来見通しは

基礎からわかる原子力発電

災害に強いシステム急務

 「人類の奇跡的発明を、人類の生命のためにささげる」

 日本の原子力開発は、1953年12月の国連総会で、アイゼンハワー・米大統領が演説した「原子力の平和利用」宣言でスタートした。

 エネルギー争奪戦となった第2次大戦に敗れた日本にとって、復興のためにも自前のエネルギーは必要だった。翌54年4月、初の原子炉建設関係の予算が成立、55年に「自主・民主・公開」に基づく原子力基本法が国会を通過した。

 在米日本大使館で“科学外交官”を務め、米国の原子力技術の導入を橋渡しした向坊隆・元東大学長(2002年没)は、「米国は核兵器開発に投入した膨大な資金回収を、日本は将来のエネルギーを確保するという両者の意図が一致した」と語っている。

 56年、茨城県東海村に日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)を設立し、63年、国内初の発電用原子炉「JPDR」の発電を成功させた。この間、電気事業連合会加盟の電力会社などが出資した日本原子力発電も設立され、産官学一体となった原子力推進体制が整っていった。

 国内初の商業用軽水炉、日本原電敦賀原発1号機が運転を始めた70年、大阪開催の万国博覧会へ送電され「原子の灯」と紹介された。

 順調な<航海>に陰りが出たのは、74年の原子力船「むつ」の放射線漏れ事故で、海外では79年、米国スリーマイル島原発で炉心溶融事故が発生。86年、旧ソ連のチェルノブイリ原発で爆発事故など、原発の安全性を揺るがす深刻な事故が続いた。

 マスメディアの受け止め方も、大きく変化した。

 日本原子力研究開発機構の佐田務さん(57)は、「むつ事故までの新聞、教科書の大半は『原子の火』への期待が中心だったが、スリーマイル以降、反対の視点が増えた」という。内閣府の世論調査では、70年代まで利用に賛成が6割だったが、80年代以降は4割を下回る時代が続いた。

 しかし87年度には、日本の発電総量の約3割を賄うまでになり、高度成長、技術立国化を支えた。高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故(95年)、核燃料加工会社「JCO」で臨界事故(99年)も起きたが、温室効果ガスの排出抑制という動きに伴い、排出量の少ない原発の活用見直しが世界的に進んでいた。

 こうした時期に、今回の事故は発生。津波被害で原子炉は冷却手段を失い、水素爆発や核燃料棒の一部溶融など事故は連鎖的に拡大した。放射性物質の放出を食い止め、周辺環境の汚染をどう回復させるか、溶融した核燃料棒は取り出せるのか――数年がかりの課題が積み上がった。

 世界は「フクシマ」後の原子力利用をどう見ているのだろうか。ドイツなど反原発の市民運動は高まりを見せているが、メディアの論調は冷静だ。米ニューヨーク・タイムズ紙は「米国の原発も非常用電源の拡充を図るべきだ」、英オブザーバー紙も「人類の主要なエネルギーとして残る」と、災害を克服する意志を示している。

 元原子力安全委員長の松浦祥次郎・原子力安全研究協会理事長(75)は、「これからも原子力を活用するなら、これを教訓とし、より災害に強いシステムを整える必要がある。エネルギーをどう考えるか。我々利用者も考え、判断することが求められている」と話す。

日本の原子力開発・事故史
1945.8広島・長崎に原爆投下
  53.12米大統領が、国連で「原子力の平和利用」を訴える
  54.3米国によるビキニ環礁の水爆実験で日本の漁船の乗組員が被曝(ひばく)
  54.4日本初の原子力予算が成立
  63.10茨城県東海村で、国内初の発電用原子炉が発電に成功
  70.1日本原電・敦賀1号機が運転を開始
  74.9原子力船「むつ」で放射線漏れ事故
  79.3米・スリーマイル島原発で炉心溶融事故
  86.4旧ソ連のチェルノブイリで原発事故
  95.12もんじゅでナトリウム漏れ事故
  99.9茨城県東海村の核燃料加工会社「JCO」で臨界事故。作業員2人が死亡
2010.5もんじゅが運転再開
  11.3東日本巨大地震で、東京電力・福島第一原発が被災


(2011年4月1日 読売新聞)

31/03 (1)どうやって発電

基礎からわかる原子力発電



 東日本巨大地震で被災した東京電力福島第一原子力発電所の事故では、大量の放射性物質の放出が続き、市民生活や経済面への影響は避けられない状況だ。

 一方で原発は日本の総発電量の約3割を支え、現代生活を維持するには欠かせない。原子力とどう向き合ったら良いかを伝える。まず、原発とはなにか、仕組みや開発の経緯から見てみよう。

核の熱 蒸気タービン回す

 そもそも原発は、どうやって電力を生み出しているのだろうか。

■大量の水を沸騰

 やかんに、半分ほど水を入れて火にかけてみよう。しばらくすると水が沸騰し、注ぎ口からは勢いよく蒸気が噴き出してくる。

 東京電力福島第一原発にある沸騰水型の「原子炉圧力容器」は、例えるならば大きなやかんだ。

 厚さ13~30センチの鋼鉄製で、重さは動物園でおなじみのインド象なら約100頭分、約500トンに相当する。

 高さ約20メートル、幅6メートルのやかんが大量の水を沸かし、圧力容器内に収まりきらなくなった高圧の蒸気を次々に外に押し出す。蒸気は配管を通って、大きな羽根車(タービン)を回して発電機を動かす。

 タービンは、原子炉の入った建物に隣接する「タービン建屋」のコンクリートの床に置かれている。建屋は4階建てくらいの体育館のような空間だが、地下に「復水器」と呼ばれる蒸気を水に戻す装置が埋め込まれている。

 復水器にはパイプが張り巡らされ、海から取水した冷たい海水がパイプを通っている。タービンを回した蒸気は、復水器で冷やされて水になり、また原子炉圧力容器“やかん”に戻って循環する。蒸気をさまして少し温まった海水は、パイプから海に戻るという仕組みだ。

■巨大エネルギー

 火力発電と同じ構造だが、熱源は核物質のウランだ。

 1兆分の1センチというウランの原子核は、中性子がぶつかると割れる。核分裂といい、その際にエネルギーが放出されて熱に変わる。これを利用している。

 1グラムのウランが核分裂すると、200リットルの風呂を4100回も沸かす熱量が得られる。石炭なら3トン、石油では2000リットルにも相当する膨大なエネルギーだ。

 ウランは合金の筒に入れて、圧力容器内の水に漬ける。焼き石を入れて鍋を沸騰させる磯料理のように、熱源がやかんの水の中にあるイメージだろう。

 圧力容器が頑丈な構造なのは、70気圧もの蒸気の圧力に耐え、核分裂で生まれる放射性物質のヨウ素やセシウムなど人体に有害な物質を閉じ込めるためだ。その圧力容器は、フラスコに似た鋼鉄製の格納容器に収まっている。

 格納容器も、高さ30メートル、最大幅20メートルの巨大な装置だ。加えて、分厚いコンクリートの建屋が格納容器を覆う。放射性物質の漏出には、何重もの壁が立ちふさがるはずだった。

■「海沿い」必須

 原子力発電所は広い敷地にある。福島第一原発の場合は、敷地面積350万平方メートル、東京ドーム75個分。これも異常事態に備え、市街地にまで放射能の影響を及ぼさないためだ。

 日本には54基の原発があるが、安全性への懸念から建設地は限られている。

 福島第一原発がある福島県の太平洋沿岸「浜通り」に10基、福井県の若狭湾には13基が集中しているが、海沿いの立地は、タービンを回した水蒸気を水に戻すために大量の冷水が必要、という事情があるからだ。

 日本には、やかんに例えた沸騰水型原子炉のほか、炉内の圧力を高め、高温の水を媒介して蒸気を発生させる「圧力鍋」のような加圧水型原子炉もある。

 国内では、東京電力などが採用する沸騰水型が30基と多いが、海外では関西電力などが稼働させている加圧水型が主流になっている。

(2011年3月31日 読売新聞)

Sunday, April 3, 2011

03/04 放射線 健康にどんな影響

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、放射能漏れが続いている。放射線は健康にどんな影響があるのか、危険な放射線のレベルとはどれぐらいか、様々な測定データや基準値はどう読めばいいのか――など、ポイントをまとめた。

 (館林牧子、高橋圭史、中島久美子)

........全身に浴びると…100ミリ・シーベルトでがん危険性0.5%増

 放射線の健康への影響で明らかなのは、がんになる危険性が高まることだ。では、その「程度」はどれぐらいなのだろう。

 放射線の体への影響を表す単位にはシーベルトが用いられる。世界の放射線の専門家で作る「国際放射線防護委員会(ICRP)」によると、放射線を全身に一度に浴びると、がんなどで死ぬ危険は1000ミリ・シーベルトあたり5%高まる。100ミリ・シーベルトなら10分の1の0・5%、200ミリ・シーベルトなら1%危険性が増えるわけだ。

 日本人の約30%は、がんで亡くなっている。100ミリ・シーベルトの放射線の影響が加わると、がんの危険性は0・5%増えて30・5%になり、200ミリ・シーベルトの被曝ひばくなら1%上乗せされて31%になる計算だ。

 がんの原因の約30%は、たばこだ。危険性が0・5%高まる100ミリ・シーベルト程度の放射線と比べた場合、発がんへの影響は喫煙の方がはるかに大きいと言える。

 一方、放射線量が100ミリ・シーベルトより少ない場合、がんの危険性の差はわずかで、はっきりした影響はわからない。一般に「明らかな健康障害が出るのは100ミリ・シーベルトから」とされるのはこのためだ。

◆シーベルトとベクレル

 「シーベルト」は、人体への放射線の影響の度合いを表す単位。1シーベルト=1000ミリ・シーベルト、1ミリ・シーベルト=1000マイクロ・シーベルトだ。一方、「ベクレル」は、放射性ヨウ素や放射性セシウムなどの放射性物質が、放射線を出す度合いを表す。食品や水、土壌などに、どのくらい放射性物質が含まれるかを調べる時に用いられる。

........部分的被曝なら被害少ない

 大量の放射線を浴びた場合は、どんな体への影響があるのか?

 3000~5000ミリ・シーベルトの放射線を全身に一度に浴び、何も治療をしないでいると、半数が死亡するとされる。

 ただし、これは「全身に」浴びた場合の話だ。福島原発で被曝し、放射線医学総合研究所(千葉市)に3月25日に入院した作業員2人は、くるぶしから下に推定2000~3000ミリ・シーベルトの放射線を受けていたが、「健康への被害は少ない」と診断され、3日後に退院した。「強い放射線を受けても体の一部に限られていれば、大きな健康被害が出るとは限らない」と東京女子医大放射線腫瘍科教授の三橋紀夫さんは説明する。

 例えば乳がんの放射線治療では、乳房に1回2000ミリ・シーベルト相当の放射線を20~30回ほど当てる。放射線が当たった部分の皮膚が日焼けのように一時的に赤くなることがあるが、全身への被曝とは違い、命にかかわることはまずない。

 胃のエックス線や胸部のCT(コンピューター断層撮影)検査も体の一部にしか放射線を受けず、影響は全身被曝とは異なる。

........微量は宇宙・地面から常に

 各地の放射線量の測定結果が毎日公表されている。数値をどう受け取ればよいのだろう。

 健康に明らかな影響が出始めるとされる年間100ミリ・シーベルトの放射線量を、1時間あたりに直すと11・4マイクロ・シーベルトになる。

 福島市では一時、大気中で1時間あたり10マイクロ・シーベルトを超えたが、次第に低下して数分の一のレベルになっている。関東地方など多くの地域では1マイクロ・シーベルト未満で推移している。しかも、屋内にいれば浴びる放射線はさらに減る。

 今回のような事故がなくても、私たちは日ごろ、宇宙や地面からの微量の放射線を浴びている。地域により差はあるが、日本では大気中からだけでも、1時間あたり0・08マイクロ・シーベルト程度の放射線を浴びている。

 少量の被曝を長期にわたって受け続けた場合の影響は、よくわかっていない。専門家によって意見が異なるが、同じ量なら一度に浴びるよりも分けて受けた方が影響は少ないとみるのが、放射線治療でも用いられている一般的な考え方だ。

 ただし今後、累積の放射線量が一定以上を超えると、避難区域の拡大につながる可能性もある。推移に注目したい。

........「水」「食品」規制値国際基準と整合

厚生労働省が決めた水や食品の放射性物質の基準

 放射線を発する物質を放射性物質という。福島、茨城県などのホウレンソウや原乳などから、厚生労働省が定めた暫定規制値を上回る放射性物質の放射性ヨウ素が検出され、出荷停止措置がとられている。

 放射性ヨウ素の暫定規制値は、葉物の野菜で1キロ・グラムあたり2000ベクレル、牛乳や飲料水で300ベクレル。ただし、乳児の飲料水や粉ミルクには100ベクレルと、さらに厳しい制限がついた。

 首都圏の浄水場でも一時、100ベクレルを上回る値が出た。自治体が乳児向けにペットボトルの水を手配するなど混乱が広がった。

 この規制値は、原子力安全委員会が13年前に作った指標などを基に作られた。指標の策定メンバーだった須賀新一さん(元日本原子力研究所)は「国際的な基準とも整合する値で、現在でも妥当な値だと思う」と話す。

 放射性ヨウ素は8日で半分に減る。時間と共に、野菜などについた分も減っていくので、国は出荷停止の解除を検討中だ。

 水道水の放射性物質の値は雨の後に上がりやすい。規制値を下回る時に清潔な容器に入れ、冷蔵庫などで保存しておくと良い。

 乳児の水分不足は健康に重大な影響をもたらす。日本小児科学会などは、代わりの飲料水が確保できない時は水分摂取を優先させるよう呼びかけている。

◆放射性物質

 

 原子炉や使用済み核燃料の中には、様々な放射性物質が含まれている。体内に取り込まれて問題になるのが、放射性のヨウ素、セシウム、ストロンチウム、プルトニウムなどだ。放射性ヨウ素は甲状腺にたまりやすく、多いと甲状腺がんの危険が高まる。放射性セシウムは主に筋肉に、放射性ストロンチウムは骨に蓄積して放射線を出し続ける。ストロンチウムは検出が難しいが、セシウムと共に出ることが多く、セシウムが規制値以下なら問題ないとみられる。プルトニウムは、体内に長くとどまり、破壊力が強いアルファ線を出すため、人体への影響が大きい。特に肺に入ると肺がんになる確率が増す。

........放射性物質魚に蓄積しにくい

 福島第一原発周辺の海域では、原子炉等規制法が定める基準を超える放射性ヨウ素や放射性セシウムが検出されている。魚への影響はないのだろうか?

 魚にたまる有害物質では、水銀が知られている。プランクトンを小魚が食べ、さらに大きな魚が小魚を食べる過程で濃縮され、魚の体内では、海水中の濃度の360~600倍になるというものだ。

 これに対し、放射性物質は、魚の体内にはたまりにくい。ヨウ素は放射線が減るのが早く、セシウムやプルトニウムは、魚のえらや尿から排出される。水産庁増殖推進部研究指導課の森田貴己さんは「魚の体内で、放射性物質が蓄積される度合いは低い」と話す。

 水産総合研究センターは、3月24日に千葉県の銚子沖で捕獲したカタクチイワシから魚肉1キロ・グラムあたり3ベクレルの放射性セシウムを検出した。日本近海の海産物の測定を約50年間続けているなか、通常ほとんどセシウムは検出されないことから「福島の事故の影響」とみる。ただし、食品の暫定規制値(1キロ・グラムあたり500ベクレル)から見れば、これは極めて低い値だ。森田さんは「今のところ海産物への影響は問題ないが、今後も細かく検査をしていく」と話す。

........工夫で被曝減らせる

 被曝の影響などについて一般の質問に答える放射線医学総合研究所(千葉市)の電話相談窓口は、3月13日の開設から、電話が4000件を超えた。ホームページで代表的な質問と答えを紹介している。

 同研究所でリスクコミュニケーションを研究する神田玲子さんによると、「雨にぬれたが大丈夫か?」「洋服は普通に洗濯して良いか?」などの対処法を尋ねる内容が多いが、なかには「一歩も外に出られない」という強い不安や、怒りを訴える人もいる。

 「放射性物質は目に見えないだけに不安に感じるのは当然」と神田さん。原発から離れたところでは現状では特別な対策はいらないが、「どうしても気になる人は、洗濯物は外に干さない、外出時はマスクをする、野菜は洗い、ゆでて汁は捨てるなどの工夫で、被曝を減らせることも知ってほしい」と話す。

▼放射線医学総合研究所ホームページ(http://www.nirs.go.jp/index.shtml)

(2011年4月3日 読売新聞)

Saturday, October 3, 2009

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miracle Life Blog chọn lọc cái bài thông tin, phân tích có tính cách biểu hiện xu hướng văn hoá xuyên quốc gia, xuyên thế hệ và xuyên văn hoá, nhằm hướng đên một cuộc sống tinh thần phong phú, văn minh và tương đối, tương đối có nghĩa là cái tốt nhất chưa có một cái khác có thể thay thế tốt hơn, không lý tưởng hoá, không cực đoan, đúng hơn là tránh những điều đó vì chủ biên cảm thấy lý tưởng chỉ mang đến nhiều bất hạnh hơn, cái cần làm trước hết là trao đổi ý kiến, hình thành một văn minh mới trong toàn cộng đồng, sau khi cộng đồng đã thành hình một văn minh tiềm ẩn và đạt được một thế năng có tầm cở, thì cái gì phải đến sẻ đến một cách tự nhiên, như là giáo hoàng Benedict phải chấp nhận bao cao su tránh thai là một thực tế tự nhiên mà chúa dung nhận.

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