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Friday, February 24, 2012

老後の備えは…AIJ委託企業に憤り 年金消失問題


2012/2/24 13:25 (2012/2/24 15:30更新)

 「年金資産はいったいどこへ」――。AIJ投資顧問(東京・中央)が預かった巨額資産の消失が明らかになった24日、運用を同社に委託していた企業に衝撃が広がった。「信頼していたのに」。老後の生活への不透明感が増す中、年金を積み立ててきた社員らからは不安とともに、怒りの声が上がった。
集まった報道陣に対応するAIJ投資顧問の弁護士(24日午前、東京都中央区)=共同
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集まった報道陣に対応するAIJ投資顧問の弁護士(24日午前、東京都中央区)=共同
 企業年金の運用をAIJに委託していた半導体製造装置大手、アドバンテスト。24日、東京都千代田区の本社に出勤した50代の社員は「自分の老後を支える年金なのに」と不安げ。「これまで積み立ててきたお金があずかり知らぬところで変に使われていたとしたら、とても腹立たしい」と憤りをあらわにした。

Wednesday, December 7, 2011

07/12 年金見直し どうなるの?――保険料増え受け取り減、反発多く

ニッキィの大疑問

2011/12/7 (1/3ページ)
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年金の議論がずっと続いているわ。将来にかかわる大事な話だけれど、制度が複雑で、問題点も分かりにくいのよね。いったい私たちの年金はどうなるの?
◇   ◇   ◇
政府が年金制度の見直しを進めている。年金を受け取り始める年齢の引き上げなど議論は幅広いが、異論も噴出し、簡単にはまとまりそうにない。年金制度は今どうなっているのか、将来も安心できるのか。中川恭子さん(46)と山田美香さん(27)が生活情報部の山口聡編集委員に聞いた。
▼基本的な仕組みと現状を教えてもらえますか。

Friday, October 7, 2011

07/10 ジョブズ氏逝く 彼の何が優れていたか(クイックVote緊急調査)



2011/10/7 16:09
スティーブ・ジョブズ氏=AP
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スティーブ・ジョブズ氏=AP
日本経済新聞社「電子版(Web刊)」のクイックVoteは有料・無料登録読者の皆さんを対象としたアンケート調査です。今回は5日死去した米アップル創業者、スティーブ・ジョブズ氏についてです。ジョブズ氏は革新的な商品で世界のIT(情報技術)産業をけん引した経営者です。一連のヒット商品は多くの消費者のライフスタイルを変えただけでなく、インターネットを使ったコンテンツ(情報の内容)流通の変革などを通じて、産業界の構造や商習慣にも多大な影響を与えました。そこで、ジョブズ氏の経営者としての資質や商品について読者の皆さんに振り返っていただきたいと思います。
ジョブズ氏が投入した商品は14日に日本で新型が発売されるスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」だけではありません。今や常識となった「マウス」やディスプレー上の「アイコン」で操作性を高めたパソコン「マッキントッシュ」を考案。パソコンの普及に大きく貢献しました。

Tuesday, September 27, 2011

27/09 春秋



2011/9/27付
 時代はちょうど日本の幕末。池上永一さんの小説「テンペスト」は、滅亡へと至る琉球王国の末期を、壮大なロマンを織り交ぜて描いた大作だ。仲間由紀恵さんが主演し、NHKのBS時代劇でも放映された。ご存じの人も多いだろう。
▼主人公は頭脳明敏な美少女の真鶴。男装して名を孫寧温と改め、王府入りして、次々と難題を解決していく。奇想天外な物語だ。かのペリーの琉球来航も、巧みな外交術で上手にあしらってしまう。寧温が実在してくれたら……。読み進めていくと思わず、いまの沖縄の米軍普天間基地の移設問題と重ねてしまう。
▼「結果を出す時期」。先の日米首脳会談で、米国が普天間問題の進展を促した。現実はどうか。辺野古移設の日米合意は風前のともしび。地元の安全を考えれば、周囲に住宅が密集する普天間の固定化も避けたい。一方で、日米同盟の重みも無視できない。首相は沖縄説得に全力を挙げるというが、解はあるのか。
▼「どうか琉球を愛し続けてください」「日本に併合されたことを五十年後、百年後の民が心から喜べるように琉球を愛すると約束します」。かの「テンペスト」の終章。真鶴と、互いに恋する日本の内務官僚の間にこんな会話がある。沖縄出身の池上さん、いや沖縄の人々の悲痛な願いのようにも、聞こえてくる。

Monday, September 26, 2011

26/09 春秋


春秋

2011/9/26付
 船長は「天気図」とあだ名されるほど、気象に詳しかった。「台風15号はすでに通過した」と判断し、客を乗せて出航。その日の夜、悪天候で船は横転する。死者1000人を超す青函連絡船洞爺丸の事故は、57年前のきょう起こった。
▼大海原の真ん中での遭難ではない。場所は函館湾の内、陸地と目と鼻の先。レーダーも装備し、当時としては最新鋭の貨客船だったそうだ。それがなぜ多くの命を道連れに沈んだのか。科学技術振興機構が作成し、いまもネット上で読める「失敗知識データベース」が事故の経緯を分析し、教訓を引き出している。
▼台風の強さや動きが常識外れという不幸があった。本州と北海道を結ぶ幹線輸送を担う責任感も働いた。しかし「優れた人間でもその判断を超えるような自然現象が生じることもある」。少しでも危険を感じたら安全側を選ぶ。これまでの想定を上回る厳しい条件での対処法を日ごろから準備せよ。そう提言する。
▼データベース作成の指揮者は畑村洋太郎氏。成功物語より失敗例からこそ学べ、とする失敗学の提唱者だ。その畑村氏のもとで原発事故の検証が進んでいる。津波、台風と災厄が続く。明と暗、生と死を分けたものは何か。それぞれの場で、せめてきちんと検証することが、失われた命を生かすことにもつながる。

Tuesday, July 12, 2011

12/07 春秋



2011/7/12付
 原子力発電所の再稼働を巡って出てきた「ストレステスト」という言葉は聞き慣れた人もいるだろう。金融機関に経済の悪化に耐えられるだけの資本があるかどうかの審査もそう呼ばれる。もとは企業の品質管理で使われてきた言葉だ。
▼たとえば自動車は、車種によっては砂漠やジャングルも平気で走れるよう、部品が高温や強い衝撃に耐えられるかを試験する。電気自動車用の蓄電池は車ごと水につけても性能が落ちないかみるなど、過酷な耐久性試験の歴史がある。製品の品質を高め、日本のものづくりを支えてきたひとつがストレステストだ。
▼政府が決めた原発のテストも製造物の信頼性を調べる点は変わらない。が、きのうの枝野幸男官房長官の発表では、安全評価の基準が詰まっていないという。福島原発の事故から4カ月もたとうとしていたとき出てきたストレステストには唐突感が免れない。常に製品の改善を迫られている企業との落差は大きい。
▼企業経営では「方針管理」という言葉もある。どの製品に注力するかなどトップが方針を決め社内を動かすことをいう。いま政府のトップからは停止中の原発の再稼働について「方針」がみえない。組織が動くには進む方向を明確にする必要がある。政府の原発対応のようなことをしていれば企業は生き残れない。

Sunday, July 10, 2011

10/07 春秋



2011/7/10付
 「どこが市街で、どこが郊外か、区別するのは難しい」。きのうスーダンから分離独立した南スーダンの首都ジュバを、中国メディアはこう形容した。「草ぶきの家が密集し、中国の農村のような市場があれば、そこが繁華街だ」とも。
▼スーダンが英国から独立する前から、半世紀以上にわたり繰り返されてきた内戦。「南部スーダン」と呼ばれてきたこの地域の社会基盤は壊滅的な打撃を受けたという。世界で最も新しい独立国は、教育、治安の維持、医療や衛生といったサービスを、ほとんど文字通り「ゼロ」から築いていかなくてはならない。
▼それでも、南スーダンの人々の多くは意気軒高なようだ。内戦を逃れて国外に移り住んでいた難民たちも、続々と帰国している。やはり中国メディアの報道だが、8歳の時に故郷を離れて以来22年ぶりに母親と再会した青年は、第二の故国とも言うべき米国での生活をなげうって故国に尽くそう、と決めたそうだ。
▼「私はここに属している。よその土地は私を必要としていないが、ここの人たちは私を必要としている」。青年の言葉は感動的だ。長い目でみれば、豊かな石油資源に恵まれた南スーダンは飛躍的に発展する可能性を秘めている。生まれたばかりの国が、健やかに育つことを願う。大切なのはやはり、平和だろう。

Saturday, July 9, 2011

09/07 春秋



2011/7/9付
 ドイツ料理にメットと呼ぶ豚の生肉料理があるそうだ。豚をナマで、と聞けば日本人は驚くが、無菌の新鮮なやつをミンチにして塩コショウを振る。タマネギのみじん切りを添えてパンに載せて食べれば、ネギトロみたいに美味らしい。
▼食文化とはかくも多様なものだから、あれこれ文句を言われる筋合いはない。が、それでは済まぬのが役所の立場だ。ユッケの集団食中毒で火がついた問題がレバ刺しにも及んでいる。厚生労働省は飲食店が当面、牛の生レバーを供さないよう通知を出した。審議会で年内に提供禁止を決めるかもしれないという。
▼牛刺しやユッケについては罰則付きで厳しく規制する方針が一足早く決まったし、国の対応を待たずレバ刺し追放の条例案づくりに乗り出した県もある。これでもう、ちまたの店ではおいそれとその手の料理は出せなくなろう。食の安全や健康にすこぶる敏感な時代が生み出した、かつてない肉騒動というべきか。
▼考えてみれば、魚の造りだって大胆な料理ではある。ひたすら安心を求めるなら、やめたほうがいい食べ物が世にはあふれている。されど微妙なのが、食というものだ。でなければドイツでも、かのメットを食べ続けてはいまい。レバ刺し禁止令が発せられ、法外な値のヤミ刺しがはびこらなければ、いいのだが。

Friday, July 8, 2011

08/07 「やらせメール」とは情けない

2011/7/8付

 九州電力の社員らが玄海原子力発電所2、3号機の再稼働をめぐる国主催の説明会に「やらせメール」を送っていた問題が明らかになった。社員らが一般市民を装い、再稼働を支持するメールを送っていた。

 説明会は玄海原発の再開について、賛否両面から佐賀県民の率直な意見を聴く場として企画された。当事者である電力会社の社員が身分を隠し、一方的な意見を送ったのは、説明会の公平性を踏みにじる。原子力利用の大原則である「民主的な意思決定」にも反する。

 福島第1原発の事故で国民は原発に不安を募らせている。原発関係者が謙虚に反省しなければならないこの時期に、九電の行為は情けない。

 やらせメールは、経済産業省の主催で6月26日に佐賀市で開いた説明会に送られた。その4日前、九電の原子力発電部門の社員が本社や子会社の複数の社員に「一国民の立場」から玄海原発の再開を支持する意見を送るように依頼したという。

 説明会が開かれた時点で、佐賀県玄海町長や県知事は再稼働について態度を保留していた。やらせメールが首長の判断に影響を与えた可能性もあった。九電が組織ぐるみで「見せかけの県民世論づくり」を意図していたのなら、許されない。

 真部利応社長は7日、「(社長を)続けるにしても長くはない」と辞任を示唆した。だが前日の記者会見で自身の関与について「ノーコメント」と繰り返し、「そんなに大きな問題ですか」と述べた。事の重大さの認識が希薄だったのではないか。

 電力会社は地域の電力供給をほぼ独占し、地域経済に強い影響力をもつ。そのおごりと甘えが今回の問題の背後になかったか。外部の専門家を交えて徹底した調査が必要だ。

 一方で、説明会の開き方にも問題があった。出席者は経産省が募った地元商工団体幹部や主婦ら7人に限られ、ケーブルテレビなどで公開された。本来なら、多数の市民が自由に意見を言える場とすべきだ。

 福島原発の事故の遠因には「原子力ムラ」と呼ばれる閉鎖的な体質があったとされる。これから原子力政策の進め方を冷静に議論するためにもまず、電力会社が閉鎖的な体質から脱却しなければならない。

Thursday, July 7, 2011

07/07 混乱に輪かける唐突な原発テスト表明

2011/7/7付

 海江田万里経済産業相が6日、全国の原子力発電所でストレステスト(耐性調査)と呼ぶ追加的な安全検査を実施すると表明した。地震や津波に襲われたとき、原発の設備が安全基準で定めた水準に対し、どの程度の余裕があるか調べる検査だ。

 福島第1原発の事故を受け、ほかの原発で安全性を念入りに確かめること自体は妥当だ。しかし、定期検査で止まった原発の再稼働をめぐり地元が厳しい判断を迫られているなか、唐突な追加検査の実施表明は混乱に拍車を掛けている。

 経産相はこれまで地元自治体に再稼働の要請を続けてきた。一方で、原発事故の発生から4カ月近くたっていきなりテスト実施を持ち出した。本来なら事故直後に始めるべきテストを、なぜ、この時期に実施すると発表したのか、理解に苦しむ。

 定期検査で停止中の九州電力玄海原発2、3号機では地元が再開を容認する姿勢だった。だが佐賀県知事は「テストを待って判断するのが妥当」と、結論を先送りした。地元の自治体や住民は困惑し、かえって不信感を募らせている。

 このままでは54ある原発すべてが1年以内に止まり、電力不足が深刻化して経済全体に影響が及ぶ。経産相は危機回避へ全力を尽くすというが、それを乗り越えるための具体的な手立てを示さなければならない。

 菅直人首相はテスト実施の理由を自ら丁寧に説明すべきだ。首相は中部電力浜岡原発について政治判断で停止を指示し、これが発端になってほかの原発の運転再開が遅れている面がある。首相は佐賀県知事との面会も先送りしているが、これではあまりに無責任ではないか。

 福島第1原発の事故を受け、欧州連合(EU)は域内の原発で素早くストレステストに着手した。日本でも実施する以上、細目を早く示し、国民が信頼できる検査体制を整えることが欠かせない。国の原子力安全委員会が関与し、「ダブルチェック体制」を機能させる必要がある。

 原発の新設や運転再開では、まず原子力安全・保安院が安全性を審査し、それを安全委が重ねて点検する仕組みを取っている。班目春樹委員長はストレステストで大きな弱点が見つかれば「対策を実施するまで運転をすべきではない」と述べた。

 安全委は原発事故へ対応が後手に回ったことで批判を浴び、政府は原子力安全を担う組織を再編する方針だ。しかし今の事態は急を要する。ここはひとまず安全委が「原子力安全の番人」たる役目を果たさなければ、その存在意義はない。

07/07 春秋



2011/7/7付
 中世から20世紀にいたるヨーロッパ全体の歴史を知ろうとするならば、欠かせないことがふたつあるという。まずはキリスト教。もうひとつが600年以上にわたって君臨したハプスブルク王朝である。(江村洋著「ハプスブルク家」)
▼王朝はオーストリア・ハンガリー帝国が第1次大戦に敗れた1918年についえた。そのとき6歳。最後の皇帝の皇太子だったオットー・フォン・ハプスブルク氏が4日に98歳で死去した。世が世なら皇帝という人は、米国などでの亡命生活を経て第2次大戦後はドイツに住み、「欧州をひとつに」と訴え続けた。
▼家訓といえばいいか。「戦は他の者に任せよ。なんじ幸あるオーストリアよ、婚姻せよ」というのがハプスブルク流だったそうだ。武力より結婚によって版図を広げ、さまざまな文化や言語を持つ民族をゆるやかに束ねる統治の仕方が真骨頂だった。その柔らかさが、まれにみる長寿王朝を築いた秘訣でもあった。
▼かつて帝国のうちにあり民族紛争の舞台にもなった旧ユーゴスラビアのクロアチアが先ごろ、欧州連合(EU)に入ることが決まった。そうなれば再来年には28カ国の集まりになる。苦労しつつ拡大を続けるEUの歩みは、ハプスブルクが刻んだ歴史と無縁ではないのだろう。もちろん政略結婚は別として、だが。

Wednesday, July 6, 2011

06/07 春秋



2011/7/6付
 待ち合わせのときに、何分までなら相手を待てますか? 時計メーカーが以前、こんな調査をしたら平均は25分だった。すると、松本龍さんはずいぶん短気だ。宮城県知事が自分よりあとから部屋に入ってきただけで、激しく立腹した。
▼大臣がやってきたのに出迎えもないのか――。どうやら、はなから不機嫌だったようだ。さらには部屋で待たされ、キレたに違いない。「県でコンセンサス得ろよ。そうしないと我々は何もしないぞ。ちゃんとやれ」。テレビカメラが回っているなかで言い散らし、あっけなく復興担当相辞任となった次第である。
▼岩手県知事に対しても「知恵を出したところは助けるけど、出さないやつは助けない」と放言しているから、言葉の荒い人なのだろう。親分肌のつもりかもしれぬが、知事との間には主従関係などない。しかも、そこはきびしい被災地である。すこし待たされたくらいで腹を立てるなんて、なんだか小さい親分だ。
▼政界伝統の失言辞任劇をまた見せられ、ため息が出る。いつまでこんなことを繰り返すのかと嘆じつつカレンダーを眺めれば、震災から間もなく4カ月。がれきの町はなお復旧への糸口もつかみかね、福島第1原発の周辺住民はあてどなき避難生活を送る。もう待てないのは国民、なかんずく被災者のほうである。

Monday, July 4, 2011

03/07 春秋 - 「衝撃的な映像や統計的な数字よりも、はるかに雄弁に現場の真実を伝えてくれた」

2011/7/3付

 「つなみってよくばりだなとおもいました」。宮城県気仙沼市の小学校1年生が、震災の日とその後の避難生活をつづった作文の一節だ。波にさらわれる。町から離れる。大切な友達が周りから消えていく寂しさが、短い表現から伝わる。
▼80人を超す子どもたちの手によるこうした体験記が一冊の本になった。妹の通う小学校まで駆けた兄は「人生でこんなにも全速力で走った事はない」と振り返る。母親を置いて山に逃げた罪悪感に泣く息子。前は欲しいものがたくさんあったのに今は何が欲しいかわからないという小学生。そんな生の言葉が並ぶ。
▼作家の吉村昭氏が昭和45年に出版した記録文学「三陸海岸大津波」が、昭和初めの大津波を体験した子どもたちの文を紹介している。この本に着想を得たジャーナリストの森健さんが、避難所を訪れ作文を依頼して回った。子どもの素朴な文章こそ津波の恐ろしさを生々しく伝えられる。そう感じたからだという。
▼集まった作品は「衝撃的な映像や統計的な数字よりも、はるかに雄弁に現場の真実を伝えてくれた」と森さん。忘れたい思いをあえて記憶し、語り継ぐことが未来の命を守る。津波や地震の怖さを、日本中の人に伝えてほしい。いつか自分の子や孫にも伝えたい。作文を書いた子供たちは、そう語っていたそうだ。

Saturday, July 2, 2011

02/07 地デジ移行まであと3週間だ

2011/7/2付

 


 地上デジタル放送への完全移行まであと3週間に迫った。岩手、宮城、福島の東北3県以外は、7月24日から従来のアナログテレビは見られなくなる。地デジを受信できるテレビやチューナーを持たない家庭と事務所は対応を急いでほしい。
 総務省によると、移行1カ月前の6月24日時点で地デジに未対応の世帯は約33万5千ある。地デジの番組を見るには専用のアンテナか共同受信設備が要る。工事が間に合わなくならないよう、未対応世帯は申し込みを急ぐ必要があろう。
 地デジを受信するにはテレビの買い替えが必要だが、従来のアナログテレビを使う手立てもある。地デジに対応した録画機やチューナーをつなぐか、ケーブル放送を通じて地デジ番組を見る方法だ。ハイビジョン画質では映らないが、子供部屋などのテレビの応急措置にはなる。
 東日本大震災で大きな被害を受けた東北3県では、移行を最長で1年延期することになったが、年内には移行すべきだろう。津波の被害を受けた地域ではテレビは失われており、仮設住宅に移った被災者には新しいテレビが配布されることになっている。放送局にとっても古いアナログの放送設備を維持する方がかえって負担になるからだ。
 地上デジタル放送の大きな目的は電波の有効利用にある。来年春には携帯端末向けに映像を配信するマルチメディア放送が始まる予定で、東北3県でもそれまでには移行を終える必要がある。放送の空き周波数は携帯電話や車の安全走行システムなどにも使われるため、その意味でも移行は待ったなしといえよう。
 日本は英国や米国より5年遅れて地上放送のデジタル化を始めた。欧州はドイツなど8カ国がすでに移行を終えている。ブラジルなど南米10カ国とフィリピンは日本の放送方式を採用したが、海外に日本のテレビや放送番組を売り込むためにもデジタル化を急ぐべきだ。
 米国も日本と同様、低所得世帯にはチューナーの無償配布制度を導入した。それでもアナログ放送を終了した2009年6月の段階で250万世帯以上が未対応だった。日本では地デジ難民が生まれぬよう政府も放送業界も全力を挙げてほしい。

02/07 春秋 - 大震災以降、東京にも少しだけ星空が戻ってきた気がする。夜のネオンが減って寂しかったけれど、慣れると暗いのも悪くない


2011/7/2付


旧江戸城本丸跡の庭園に「午砲台」の小さな碑がある。明治から大正にかけて正午にここで号砲を撃ち、時を知らせた。その時刻を決めていたのは当時麻布にあった子午儀である。天頂と南北を結ぶ子午線に沿って天体観測する装置だ。
▼先日、今は東京・三鷹の国立天文台にあるその「レプソルド子午儀」を見学した。ドイツから購入したのは1881年。以来、80年にわたって子午線上を通る惑星や恒星を観測し、「星表」という日本で初の本格的な星のカタログを残した。この長さ約2メートルの子午儀が国立天文台では初の重要文化財に指定された。
▼使用されなくなって以降、職員ですらその存在を忘れていたが、4年前に同天文台の中桐正夫さんが、施設内でほこりまみれの子午儀を発見し、復元した。国立天文台は現在、主に太陽を観測している。三鷹に移転した大正末期には満天の星空だったが、これだけ夜が明るくなれば、通常の天体観測はもう難しい。
▼しかし、あきらめるのは早いかもしれない。大震災以降、東京にも少しだけ星空が戻ってきた気がする。夜のネオンが減って寂しかったけれど、慣れると暗いのも悪くない。欧米の都市に比べて東京の「光害」はひどすぎた。節電の夏が始まってもうすぐ七夕。天の川をこの目で見られる日がいつか来るだろうか。

「信頼の政治」作り直す 新しい日本へ 第5部 「震災後」へ動く(5)


 2011/7/2 4:00 
政府の復興構想会議が打ち出した被災地の高台移転。すぐに動きたくてもままならない。「財源の見通しが立たない。測量に関する予算だけでもつけて政府の方針を示してほしい」。宮城県知事の村井嘉浩(50)は、今年度第2次補正予算案での対応を求める。
大災害を前にして機能せぬ国会を、このままにしていいのか
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大災害を前にして機能せぬ国会を、このままにしていいのか
永田町の動きは鈍い。70日の延長国会は退陣時期を明言しない首相、菅直人(64)に野党が反発、1週間以上、滞った。自ら退陣を表明した以上、菅の下で本格的な政策論議は難しい。新首相で再出発する以外ない。
ただ、菅が退陣しても国会が機能する保証はない。参院で野党が多数を持つねじれ国会の状況は変わらないからだ。2007年の参院選後、自公政権末期もねじれていた。選挙のたび大きく振れる民意に、ねじれの常態化を指摘する声もある。無策のままはもう、許されない。
■議論する国会に
強すぎる参院の権限見直しや、参院否決後の衆院再可決ルールの緩和など答えはほぼ出尽くしている。衆参の議決が異なった場合に開く両院協議会の改革など、憲法を改正しなくてもできるものもある。すぐにでも議論を始め、できるものから実行に移すべきだ。
審議日程から地方選挙まで、あらゆる機会で政権を攻撃するのは自民党一党優位だった55年体制の野党のスタイルだ。今は二大政党化が進み、政権交代が起こる。野党時代の振る舞いが与党になると跳ね返ってくる。「議論する国会」は新しい時代の要請でもある。
▼提言
ねじれ国会の打開策、与野党で議論を
「与党は譲歩、野党は節度」の慣行つくる
「ポスト菅」を短命首相にしない努力を
政策研究大学院大学教授の竹中治堅(40)は「まず与党が譲歩する姿勢が大切だ」と言う。マニフェスト(政権公約)に盛った政策であっても与党は野党に歩み寄り、野党は節度ある態度で応じる。震災の復旧・復興を機に信頼関係を積み上げれば、大連立を含めた連立組み替えや閣外協力、政策ごとの部分連合など新しい形も見えてくる。
「ポスト菅」が8月に誕生すれば、5年で6度目の首相交代になる。日本と同じ議院内閣制の英国では、戦後の首相の平均在任期間は約5年。短命政権が続く悪弊を終わらせる努力も欠かせない。
英首相、キャメロン(44)は昨年5月の就任以降、増税や厳しい歳出削減を断行。与党・保守党の支持率は野党と逆転したが「キャメロン降ろし」の声はない。過去の総選挙は平均4年弱に1回だ。キャメロンは下院議員の任期いっぱいの15年まで解散しないと宣言。当面、選挙はない前提で不人気政策を進めている。
■選んだら任せる
日本の国政選挙(衆院選、参院選)は戦後、平均で約1年半に1回。選挙を恐れて政治家はポピュリズム(迎合主義)に走りがちだ。制度改正は難しくても、13年夏の参院選近くまで衆院解散しないのも選択肢だろう。
世論やメディアの意識改革も必要だ。英国でも政治不信は強まっているが、ランカスター大教授のデイビッド・デンバー(66)は「多くの有権者は政権が何か成果を出すには時間が必要だと分かっている」とも指摘する。リーダーを真剣に選び、選んだからには任せる政治文化と言ってもいい。
「ポスト菅」を選ぶ民主党代表選を第一歩にしたい。政治の混迷を招いた党運営や経済政策を徹底して議論し、新首相を次の選挙までしっかり支える姿勢を民主党がまず、示すべきだ。
震災からの復旧・復興、社会保障改革、成長戦略――。直面する課題には痛みが伴う。だが政治がひるまず説得すれば国民と目標を共有できるはずだ。政官民の力を結集して危機を乗り越えよう。その先に「新しい日本」が待っている。=敬称略
(「新しい日本へ」取材班)
=第5部おわり