Sunday, April 10, 2011

04/04 (3)行政のしくみは

基礎からわかる原子力発電
    原子力安全委に強い権限

 原子力エネルギーは、どんな役所や組織が担ってきたのだろうか。

 長期的な視野で原子力の開発・利用計画を立案する司令塔は、「原子力委員会」。首相が任命した5人の委員と54人の専門委員らで構成され、10年先までの行政の基本方針となる原子力政策大綱を作る。

 原発の安全規制を担うのは「原子力安全委員会」だ。原子炉や耐震構造などのエキスパート約400人を抱える。事故への対策や放射性物質の拡散範囲を予想、首相に助言もできるなど、強い権限を持つが、今回は情報発信力の弱さが目立つ。

 本来なら専門家集団として事故の概要を説明し、国民の不安を解消する役目を担うが、記者会見を開いたのは、事故から12日後の23日で、「信頼できる情報を発信できていない」などと批判された。

 一方、経済産業省には、運転中の原発を監督する原子力安全・保安院があり、商業用原発などを定期検査している。今回のように、緊急事態が発生すれば、首相が「原子力緊急事態宣言」を出し、自らをトップとする原子力災害対策本部を設置する。また、高速増殖炉「もんじゅ」を開発する日本原子力研究開発機構など次世代炉の研究を進める組織があり、これらの外側に電力会社、原子炉の製造メーカーなど、多種の企業が存在し、巨大なネットワークで原子力を支えている。

(2011年4月4日 読売新聞)

No comments:

Post a Comment