Thursday, April 7, 2011

07/04 原発事故に敏感、外資系社員帰国の動き

 東日本大震災と東京電力の福島第一原子力発電所の重大事故の影響で、外資系企業の一部に、外国人社員を帰国させるといった動きが出ている。

 情報技術(IT)システム構築などを手がけるタタ・コンサルタンシー・サービシズ・ジャパン(横浜市)は震災後、大半のインド人社員を帰国させた。今も数十人がインドにとどまったままだ。社員を戻すかどうかは「原発事故の行方を見ながら、本社の決定を待つ」と説明する。

 独フォルクスワーゲン(VW)の日本法人フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン(愛知県豊橋市)は、本社から出向中の外国人社員12人のうち9人が帰国した。チェルノブイリ事故の記憶が残る欧州の社員は「原発事故の影響に非常に敏感」(関係者)といい、帰国した社員はドイツにとどまったままだ。

 物流にも影響が出ている。外国コンテナ船が原発事故による影響を懸念して、日本への寄港を避ける動きが出ており、国土交通省によると、東京港や横浜港への寄港を見送った外国のコンテナ船は3日時点で計27隻に上った。

 ただ、いったんは本国に帰国させた社員を呼び戻したり、本社機能を東京に戻したりする企業も出始めている。

 たばこ大手フィリップ・モリス・ジャパン(東京都)は本社機能の一部を大阪に移したが、3月24日には東京に戻した。ソフトウエア開発大手のSAPジャパン(東京都)も震災後に一部の外国人を海外に帰国させたが、全員が日本に戻った。家具販売大手イケア・ジャパン(千葉県船橋市)も、震災後、いったん本部機能を神戸市に移し、約60人の外国人社員を香港などに移動させたが、現在はほぼ震災前の業務体制に戻した。

(2011年4月7日09時46分 読売新聞)

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