Wednesday, April 6, 2011

06/04 福島第1原発:冷却なお時間 続く注水作業

福島第1原発:冷却なお時間 続く注水作業

原子炉の冷却方法
原子炉の冷却方法

 福島第1原発で続いていた高レベルの放射性汚染水流出が6日、ようやく止まった。東京電力は最重要課題である原子炉の冷却システム「残留熱除去系」復旧に全力を挙げる。応急処置の注水を続けて汚染水が増え、再び海に流出する悪循環を断ち切るためだが、周辺機器が損傷している可能性に加え、建屋内の汚染水も作業を阻む。復旧にはなお時間がかかりそうだ。【河内敏康、関東晋慈、平野光芳、西川拓】

 福島第1原発は、津波による電源喪失で冷却機能を失った。特に、被災時に運転中だった1~3号機では燃料棒を冷やすための電源が足りず、燃料の過熱→空だき→水素爆発→建屋損傷、放射性物質の放出という深刻な事故を引き起こした。

 現在は外部電源が復活している。1~3号機では仮設の電動ポンプを使い、タービン建屋内にある真水を、トラブル時に働く「給水系」「消火系」配管から原子炉圧力容器内に注水、燃料棒を冷やしている。使用済み核燃料プール内の燃料棒も冷却が必要だ。原子炉建屋が壊れている1、3、4号機は生コン圧送機、2号機は既存の配管を使ってそれぞれ注水を続けている。

 東電によると、原子炉内の圧力や温度は高いもののいずれも安定しており、燃料プールも「注水などによる冷却で制御できている」という。しかし、本来圧力容器内で完全に水没していることが望ましい燃料棒(長さ4メートル)は▽1号機は1.7メートル▽2号機は1.45メートル▽3号機は2.2メートル、水面から出ており、いぜん予断を許さない状況だ。

 一方5、6号機は被災時に原子炉が点検停止中だったことや、外部電源を比較的早く導入できたことで圧力容器、燃料プールともに冷却が進み「冷温停止」と呼ばれる制御可能な状態を保っている。

 小康状態とはいえ、1~3号機への注水を続ける限り、放射性物質を帯びた汚染水は増え続ける。一部は原子炉建屋から漏れだしてタービン建屋に移動、さらに外部のトレンチにも浸出しており、推計6万トンに及ぶとされる汚染水の処理は、東電にとって頭の痛い課題だ。特に線量が高い2号機の汚染水2万トンについては、別棟の集中環境施設(収容能力約3万トン)に移すことを計画。以前から同施設内にあった約8000トンの低レベル放射性汚染水のうち約6000トンを6日までに海中に放出した。

 ◇熱除去系 復旧は高い線量が壁

 注水をやめられる方法は、本来原子炉が持っている「残留熱除去系」と呼ばれる冷却システムを復旧させることだ。通常、定期検査などで原子炉を停止させた後に使われ、外部から余分な水を入れなくても、熱交換器で冷やされた水が循環して炉内と燃料プールを効率的に冷やしてくれる。東電はすでに、熱交換器に海水を供給するポンプの仮設を1~4号機で済ませた。

 懸念は、このシステムがきちんと稼働するかどうか。特に水素爆発が起きた1、3号機は建屋内の配管などに何らかの損傷が起きている可能性が高い。

 6日の作業で、高レベルの放射性汚染水の流出を食い止めた東電は今後、たまっている汚染水の処理と並行して、残留熱除去系にかかわる配管や弁、ポンプなどの健全性の確認に作業を集中させる。しかし、残留熱除去系の復旧に欠かせない電源盤など一部の機器はタービン建屋内にあり、汚染水の処理が急がれる。

 また、別の場所から新たな汚染水流出が始まる可能性も捨てきれず、作業は時間との闘いだ。

 さらに、圧力容器内の放射線量が高い状態では、放射線によって水の分解が進んで水素が発生しやすく、新たな水素爆発を誘発する危険性もある。東電は格納容器内の放射線量が減少傾向にあることから「水素爆発を起こすほどのレベルではない」と分析している。

 内閣府原子力安全委員会の代谷(しろや)誠治委員は「目に見える流出は止まったかもしれないが、他にも漏れがないか危惧している。今後は持続的な冷却システムの構築を目指すだろうが、まだ高い放射線量の水が1~3号機のタービン建屋に残っており、これを除去しない限りポンプや配管を設置する作業はできない。熟練の作業員の数も限られており、かなりの時間がかかるだろう」と話す。

毎日新聞 2011年4月6日 23時09分(最終更新 4月6日 23時21分)

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