Wednesday, March 30, 2011

29/03 プルトニウム漏出、燃料深刻ダメージ裏付け 体内被曝の防止急務

2011.3.29 20:58

東京電力福島第1原発の(左から)1号機、建屋が残っている2号機、中央の鉄塔後ろに3号機、4号機=27日午後0時19分、共同通信社ヘリから(高度約1500メートルで30キロ以上離れて撮影)


 東京電力福島第1原子力発電所の土壌から毒性の強いプルトニウムが検出され、健康や環境への影響に不安が高まっている。濃度はごく微量で作業員を含め人体への影響はないという。ただ、外部漏出は、原子炉内の燃料棒が高熱で深刻なダメージを受けたことを裏付けるものだ。漏出元や経路も特定できていない。これ以上の漏出を防ぐための監視と対策が急務となっている。

 「高温で発生し重さもある。それが出るくらい燃料が損傷し、本来の閉じ込め機能が破られた」

 経済産業省原子力安全・保安院は、事態の深刻さに危機感を強めている。

 燃料を閉じ込めるペレットからプルトニウムが溶け出す温度は2700度程度と極めて高い。漏出は、燃料棒を覆うジルコニウム合金製の「被覆管」が溶けるとされる1200度程度を大きく上回る温度に上昇し、深刻な損傷を受けた可能性を示している。

 燃料棒の間には、震災時に中性子を吸収する制御棒が装填(そうてん)されており、核分裂は止まっているので新たなプルトニウムは生成されていない。ただ、運転時に生成されたものの漏出が続く恐れは否定できない。

 問題となる漏出経路について、大阪大の宮崎慶次名誉教授(原子力工学)は、「プルトニウムが溶けて水と接するとこまかい粒子状になり、これが水の蒸発といっしょに周りに出ている可能性がある」と指摘する。酸化物となったプルトニウム粒子は質量が重く、30キロ以上飛ぶことは考えにくいとしている。

 また、原子炉内から漏れ出たとみられるタービン建屋地下にたまっている高濃度の汚染水に含まれている可能性もあるが、東電は現時点で調査していない。

 どこから漏れているかも不明だ。プルトニウムは発電時のウランの核分裂に伴って生成され、4年間の使用後で燃料全体の最大1%程度になる。3号機で使われているプルサーマル用のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料棒には3~4%含まれている。1、2号機の燃料棒にも1%以下で含まれており、東電は「どの原子炉か分からない」とする。

 貯蔵プールの使用済み燃料から漏出している恐れもあるが、東電や保安院は損傷している可能性は低いとみている。

 作業への影響では、プルトニウムが出す放射線は透過力が弱く、紙1枚で遮れるレベルだ。ただ、肺に取り込まれると発がんの危険性があり、宮崎教授は「放射線被曝(ひばく)と同時に内部被曝の防止も徹底する必要がある」と警告している。





 【プルトニウム】ウランが中性子を吸収して生成される。寿命(放射線の半減期)が長く、代表的な239は約2万4千年。アルファ線と呼ばれる放射線は透過力が弱く、空気中でもほとんど拡散せず、水の外には出ない。呼吸などで体内に入ると、肺にとどまってがんを引き起こす危険性がある。核燃料として利用できるほか、核兵器にも転用できるため、国際的に厳重に管理されている。

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