Monday, March 28, 2011

28/03 県外ボランティアほしいのに 燃料・食料なく持参者限定

2011年3月28日5時26分

ボランティアの受付には多くの人たちが集まった=27日午前9時17分、仙台市宮城野区、金子淳撮影

 東日本大震災の被災地で、被害を受けた家の片付けを始める人が増え、ボランティアへのニーズが高まっている。被災地の外から「支援したい」という希望者も多いが、被害の大きかった地域ではガソリンや食料などが不足し、県外からは受け付けていないところがほとんど。人手はほしいのに受け入れられないジレンマの中、地元のボランティアには疲れもにじむ。

 津波で川から泥があふれ出した宮城県東松島市の赤井地区。26日午後、ひとり暮らしの女性(52)の家に、5人のボランティアが訪れた。4人は地元の若者たちだ。

 10センチほど積もった泥が家の周囲を覆い、家の中で倒れた家具は泥まみれ。泥をよけて通路を作り、水を吸った畳や家具を運び出す。2時間ほどでようやく1階の床が見える程度になった。「1人では無理。なんと感謝していいか」。女性は涙を浮かべ、頭を深々と下げた。

 同市の災害ボランティアセンターには、家の片付けを手伝ってほしいといった要望が相次ぎ、順番待ちの状態だ。それでも、ホームページには「現在は市内のボランティアで対応しています」の文字。ガソリンや食料を持参した人だけ、受け入れているという。「人手はほしいけど、地元の生活を圧迫しては意味がない」と、スタッフの一人は話す。

 宮城県災害ボランティアセンターによると、27日現在、14市町で災害ボランティアセンターができたが、県外から受け入れているところは少ない。首都圏などからの問い合わせは多いが、「ガソリンや食料を自分で調達して」と強調している。

 受け入れ側の調整力にも限界がある。

 当初、県外からも受け付けていた名取市では、ボランティア希望者が増えたため、25日から県内限定に切り替えた。希望者が多すぎると、調整ができなくなってしまうためだ。「今はバランスが取れている」と我妻諭・災害ボランティアセンター長は言う。

 ただ、活動を始めて9日目になるという仙台市の大学生(21)は「現場は人が足りない。疲れも出てきた。これからはもっと県外からの助けがいると思う」と漏らす。

 被害が大きく、助けを必要としている地域ほど、受け入れも遅れている。

 気仙沼市では、ボランティア受け入れを担う市社会福祉協議会の建物が津波にのみこまれ、資料も水没した。公共施設のほとんどが避難所になり、最近ようやく市の健康管理センターの一室に事務所を設置。28日にも受け入れを始められるよう準備しているが、パソコンやファクスも、作業に必要な長靴やスコップもない。当面は道具を持参できる市内在住者に限り、避難所での要望の聞き取りや、支援物資の仕分けなどを手伝ってもらう予定だという。

 同協議会の菊田迅人事務局長(50)は「支援したい人も、支援を必要としている人も、大勢いるのはわかっている。でも半壊状態の建物は倒壊の危険性もあり、ボランティアが入れる状況ではない」と苦しい胸の内を明かす。

 宮城県に常駐する内閣府の阿久津幸彦政務官は「阪神大震災の時などと比べ、ボランティア対策は遅れている」と認める。「規模が大きすぎることや、ガソリンなどが足りないことが原因。ただ、自衛隊の活動が一段落した後、必ず力が必要になる」(仲村和代、三浦英之、杉浦幹治)

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